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NゲージのLED表示機が、動いてる!?驚愕の動く鉄道模型LED表示機を実現した本人に色々聞いてみた!

2022.09.24

modeling & photo:ヨミテックス(@YOMITECHS
質問・まとめ:鉄道ホビダス編集部

 先日、驚愕の作品がTwitterに投稿され話題となりました。というのも、小さいNゲージ車両の愛称表示LEDヘッドマークが実物同様にアニメーションで動いている、というものでした。これまでステッカーなどの表現だったLED表示機も「動かす」ことができるというまさに夢が詰まった作品ということで、大きな反響を呼びました。
 そんな極小ディスプレイを用いてLEDアニメーションや幕回しを再現したのは「ヨミテックス さん」。今回ご本人にこの作品の詳細や、込めた想いについて編集部が詳しく伺ってみました!


●このLEDヘッドマークを模型で作ろうと思うに至った経緯を教えてください

 幼少の頃、プラレールや各種Nゲージのカタログを見て「LEDのヘッドマークがあるのに動かないのはなんでだろう」と思っていた事が最初のきっかけです。以後様々な検討を行なっていたら二十数年経っていました。数年前、「極小ディスプレイが世の中にある」ということを知り、実現の可能性を感じてマイコンを買ったり、個人でも買える販路を探し初めました。そして最近になりやっと購入可能なルートを知り、実現しました。

●この極小ディスプレイの詳細をお聞かせください

 SONY製0.23インチの有機ELディスプレイである「ECX336C」です。元々はスマートグラスやカメラの電子ビューファインダー向けに開発されたものです。約5mm×3.3mmの範囲に600×400の解像度で60fpsでの表示ができます。駆動には中国製の基板を使用し、HDMIから変換して駆動しています。ただ、現状は車両からHDMIケーブルが出ている状態です。

●作る上で一番苦労した点はなんでしょうか?

 とにかく一般人でも手に入る方法を探すことに苦労しました。ディスプレイ自体の開発、量産開始は前から知っていましたが、個人向けで購入するためにはハードルが高い状態が続いていました。また、例えこのディスプレイ自体を手に入れたとしても、複雑な駆動回路を設計しなければならない事は避けられなかったため、どのようにしようかと悶々とした日々が続いていました。しかし、本当に最近になってHDMIの駆動回路が出たため飛びつき、今回の実現となりました。

●かなり小さいマークに見えますが、詳しい仕組みとしてはどうなっているのでしょうか?

 先程HDMI入力が可能と説明しましたが、HDMIの先はPCに繋がっています。つまり通常のPCのディスプレイと同じ扱いで表示ができます。これに以前作ったGIF画像をWindows上で全画面表示を行い表示をしています。お遊びですが、幕回しや動画を流すことができるのもPCのディスプレイ扱いだったためです。

▲実際に組み込んでアニメーションをさせているところのスクリーンショット。LEDアニメーションはたがやさん(Twitter ID:@GoodBye_4151500)のWebサイトで公開されているものを使用している。

 また、651系スーパーひたちの再現には、たがやさん(Twitter ID:@GoodBye_4151500)のwebサイトで公開されている「Series 651」を使用していますが、こちらもPCのディスプレイ扱いだからこそ実現できたものです。

●このディスプレイを装着した状態での走行というのは現状どうなのでしょうか?

 16番スケールでは十分可能と考えています。また、専用の回路を準備することができればNゲージでも可能と考えています。ただし、線路からの給電はノイズの関係上考えておらず、今のところバッテリーによる駆動を予定しています。操作コマンドの送信としては赤外線が一番無難と思いますが、DCCへの対応も十分可能です。

 また将来的には、Wi-FiやBLE(Bluetoothの亜種)を使い、完全無線での複数ディスプレイへ同時コマンド送信、表示内容の書き換えができるといいな、と思っています。これにより1両で複数個ディスプレイ使用し、側面幕・LEDの表示および消灯、E233系のような次駅の表示も実現可能だと考えています。

●かなり小さいディスプレイですが、車両搭載以外の活用方法などもし考えていましたら教えてください

 車両の搭載以外ですと、ストラクチャー類への応用を模索しています。大きな電光表示板やネオンサインはもちろん、今回のディスプレイは更に小さいので駅のLED案内表示や、ホーム監視用のディスプレイ、液晶ディスプレイ型の自販機、工事標示板などに使えると思っています。さらに今回のディスプレイは、3281ppiの高解像度ですので、パタパタ表示や時計、ショッピングモールの幕式広告といったアナログ表示の再現も可能かと考えています。

 また、光ファイバーやプリズム等で導光して、改札口やエレベーターの矢印アニメーション表示に歩道の信号機の待ち時間表示、更に小さく周囲の黒縁の少ないディスプレイ(0.1形以下)があれば、「入」「切」が本当に動作する車庫の通電表示灯などの再現まで行けると思います。

 また少し話は逸れますが、海外の車両でドアの表現を極小ディスプレイで表現している事例があります(TRIX #22930 DBAG BR648.2)。ここからビルの入り口や窓を液晶表現とし、内部の雑踏を再現できないかと考えています。

●この模型の前面LED再現について、今後の予定している改良点などがあれば教えてください

 現在は16番スケールの車両にRaspberry Pi(ラズベリーパイ:小型コンピュータの一種)を組み込み車内で完結させようと考えていますが、HDMIケーブルの処理と私自身がRaspberry piを扱ったことがなく、足踏みしている状態です…。また、現状でも縦横比がおかしくなってしまう事や輝線の処理など課題は沢山あります。今後も改良を加えていきますので見守っていただけると幸いです。

●その他、この記事で伝えたいことがありましたらどうぞ!

 以前にもマイコン(M5StickC)の液晶を車両に差し込み、LED表示や幕回し表現に挑戦し、それをTwitterに投稿したりしました。その頃も今も、車両には収まっていませんでしたが、皆様に極小ディスプレイの可能性を実感していただくため、ある程度妥協したものになっていることをご容赦ください。

 また、ここまでマイコンやディスプレイの詳細といった電気の事を語ってきましたが、実のところプリント基板等を設計、製作する技術の手段が無いことが現状ネックとなっています。この記事を読んで興味を持ってくれた方がもしいましたらお声掛けしていただけると幸いです。

 なお、現在0.98インチのフルカラーディスプレイが普及していますが模型としての活用は難しいのが実情です。0.23インチや0.5インチ程度のフルカラーディスプレイの需要も少なからずあるため、国内販路の整備が今後整っていけばと思っています。同様に、ディスプレイ周囲の黒縁が大きく、解像度も高解像度のものが主流です。縁が小さく、解像度も人間が判別可能な限界と言われている300ppi程度にしたディスプレイなどが今後出てくれば、より鉄道模型に活用しやすいものとして普及していくのかなと思っています。


 以前より、マイコンの液晶を車両に差し込む等を行なって同様にLEDや幕回し表現をしていたヨミテックスさん。「鉄道模型への極小ディスプレイ活用の夢」というところにこだわり、今も進化を続けています。

 今回この極小有機ELディスプレイのほか、3Dプリンタを応用したヨミテックスさんの作品展示を、12月18日に行なわれる「3D鉄道模型まつり」で出展予定とのことです。これらの実物を見られるチャンス!興味のある方は是非見にいってみてはいかがでしょうか?

ヨミテックスさんの作品ツイートたちはこちら!

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