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特集・コラム

「駅」を訪ねて…水浜線の生き証人なのか!? 「ひたちなか海浜鉄道 殿山駅」

2022.08.21

取材日:’21.11.2
text & photo(特記以外):羽山 健(RM)
同行取材:遠藤イヅル 取材協力:ひたちなか海浜鉄道

 隔月刊行時代のレイル・マガジンで連載した「シーナリー散歩」。WEB編は「『駅』を訪ねて…」に再構成してお届けしています。2022年1月号では、茨城県の第三セクター鉄道・ひたちなか海浜鉄道を取り上げました。今回のWEB編では、那珂湊駅の下り方ひとつ先の「殿山(とのやま)駅」ご紹介します。

前回記事(美乃浜学園駅)はコチラ

レイル・マガジン2022年1月号(452号)書誌情報

掘割状の、一段低いところにある駅
 内陸にある勝田駅から海の方向へ向かって東進してきた湊線は、那珂湊駅のあたりで海岸線に突き当たり、ここでぐっと左へカーブして海岸線に沿って北上する線形となります。しかも那珂湊~殿山間でけっこうな勾配を上り、台地の上を終点の阿字ヶ浦駅まで走る感じです。

▲駅ホームから、那珂湊方を見たところ。けっこうな勾配を上ってきた阿字ヶ浦行きのキハ37100。右手には、6両編成用停止位置目標が見えますが、当然ホームからはみ出して停車していたことになります。海水浴臨時列車用と思われます。

▲ホームに停車中の同列車。駅左右が掘割状に傾斜面となっていることが分かります。

▲駅を入口から見たところ。住宅地から坂道で下がってきて、さらに一段低い位置にあります。線路反対側にも住宅地が広がっていますが、反対側には出られない構造です。

▲ホーム側から駅入口を見返したところ。坂道を降りてきてさらに階段でホーム面へ下りてきています。

 同駅は無人駅ですが、小規模で簡素ながら駅舎を持ちます。2010年までは駅員の配置があったとのことですが、今は切符の自動販売機があるのみです。

▲手前の薄青い壁部の窓は元の出札口でしょうか。

▲どことなく現物合わせで構築されている感のある建物。

▲切符の自動販売機周辺は壁や屋根で保護されています。

見逃さないで…水浜線の生き証人
 当駅のホーム上には、傘型屋根を持つベンチがありますが、これが廃止された茨城交通水浜線(すいひんせん)馬口労町(ばくろうちょう)入口停留所からの転用とされています。水浜線とは、かつて水戸市中心部から大洗町を経由して那珂湊市(現・ひたちなか市)を結んでいた路面電車で、旧社名を水浜電車と言いました。戦時統合で湊鉄道(現・ひたちなか海浜鉄道)・茨城鉄道と統合されて茨城交通の一路線となりましたが、1966年に全線廃止となっています。

▲傘型屋根ながら、柱が2本あるという少々独特な形態。さらに背もたれの無いベンチが一体化されています。

▲確かに、単式ホームに両流れの屋根を建設することは不自然ですので、別の場所から転用されたというのもうなずけます。

▲ホームの阿字ヶ浦寄りから見通したところ。

▲上り列車用の停止位置目標。手前にワンマンの1・2両、奥に2・3両のものが設置されています。

▲駅反対側へ、線路を横断してしまう人がかつては多かったのでしょう。警報音発生装置(今は不動のようです)と注意の看板が掲出されています。

▲例の独特な書体の駅名板。2つの花をモチーフにしたもので、「ハマギク」(ひたちなか市の花)と「ケイトウ」が描かれています。

▲周囲は住宅街のため非常に閑静な場所。小規模ながら案外見どころの多い駅と感じました。

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