text & photo(特記以外):上石知足(鉄道ホビダス)
首都圏の大動脈である山手線。都心部を環状で結ぶ路線で、その知名度は全国的に高いといえますが、通勤通学や移動手段として使うことはあれど、改めて趣味的な観点から見ることが少ないように思う路線でもあります。ここでは「鉄道趣味的」な観点から改めて山手線の駅や沿線に目を向けてみて、新しい発見がないか探ってみようと思います!
※写真は2018〜2019年撮影のものです。現在のものとは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
■山手線沿線の「ボール」たち。
P:鈴木重幸
山手線には2022年現在でも唯一踏切が踏切が存在しています。それがこの「第二中里踏切」なのですが、その奥には大きなゴルフボールが鎮座しているのが見て取れるかと思います。これはゴルフ用品メーカー社屋の広告看板なのです。誰が見ても「ゴルフ関連メーカーだ」とすぐにわかる、印象に残る看板です。そんな看板と山手線唯一の存在の踏切とのコラボレーションが長年親しまれています。
P:瀧口宜慎
また、目黒〜恵比寿間の車窓を眺めていても巨大で真っ赤な「ボール」が見てとれます。これは日の丸自動車学校の校舎についているもので、その名の通り、日の丸を意識してつけられているそうですが、建物としてのインパクトは絶大。一度見たら忘れられないフォルムをしています。
■路面電車×山手線・屋形船×山手線という意外な組み合わせ
山手線といえばどちらも都会を駆け抜けるループライン(環状線)です。それだけに、高層ビルの合間を縫って走っている印象を抱くことが多いかもしれません。ですが、沿線をつぶさに見て歩いていると、意外な風景と出会うことがあります。
P:鈴木重幸
その一つが、のどかな路面電車との交差駅が存在することでしょう。それが山手線大塚駅での都電荒川線(東京さくらトラム)との乗り換えです。一つ列車を乗り換えるだけで、いつもと違った車窓を楽しむことができます。
また、もう一つの意外な場面が水辺との関わり合いです。浜松町駅の程近くを流れる古川では、東京湾の夏の風物詩とも言える屋形船をはじめ、釣り船がひしめき合うように休み、潮の香りがするような意外な場面が見られます。
■品川駅の0キロ「ポスト」?
品川駅のコンコースに上がると、一際目立つ湘南色の郵便電車を模したものが見えてきます。さて、それもそのはず、こちらは現役のポストになります。その横に「ポスト」繋がりでか山手線と品鶴線(東海道本線の支線の通称)の0キロポストも鎮座しています。山手線の正式な起点は品川駅なのがここからも読み取れるスポットとなっています。
■駅の「柱」と「屋根」に注目!
山手線の駅ホームから上へ見上げると、柱や屋根に少し目が留まります。見落としがちですが、意外にも幾何学模様的な入り組んだ屋根の骨組みや、駅ホームの柱の美しい曲線や意匠などが山手線の駅の雰囲気を賑わせているように思えます。
特にホームの柱は、近年入れ替わりの激しい歴代山手線の電車を見続けてきたのではと思うような年季が入ったものが多く、これまでの路線の歴史を今に伝えています。
■浜松町駅の主
P:瀧口宜慎
浜松町駅の3・4番ホームには名物の「小便小僧」が設置されています。長年愛されるこの小便小僧ですが、こちらは歯科医から1952(昭和27)年の鉄道開通80周年を記念して寄贈されたもので、それから長い間駅を利用する人々に愛されてきました。
ということは、鉄道開業150周年の今年、この小便小僧も70歳の誕生日を迎えることとなります。浜松町駅の主として、これからも末長く愛されていってほしいですね。
■手書き文字看板と最新型車両のコラボレーション
そんな浜松町駅ですが、駅ホームに目を凝らしてみると何やら味のある手書き看板が。撮影当時はまだホームドア設置前ということもあり、このレトロな注意書きと山手線の最新系式であるE235系とのコラボレーションも楽しむことができました。
時代が変わり、走る車両や駅の設備も変わっていくなか、この看板だけは、昔から変わらず駅を行き交う人々に注意喚起をし続けているところに、いちレイル・ファンとしてロマンを感じてしまいました。