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RMライブラリー265『日本車輌の標準設計電車(上)』発売です!

2022.07.20

7月20日より、RMライブラリーの第265巻『日本車輌の標準設計電車(上) ―黎明期の私鉄用鋼製電車―』を発売します。

 

▲表紙は1927(昭和2)年の一畑電鉄電化時に新製され、1998(平成10)年まで大社線で活躍が見られたデハ1形。

本書のタイトル名を見て、一部の方は昭和30年代に日本車輌が地方私鉄各社の車両体質改善用に新製したいわゆる「日車標準車体」を思い浮かべるかもしれませんが、今回の題材はさらに遡ること30年余り、大正末期~昭和初期に地方私鉄各社に納品された一連の日車製電車が対象です。

具体的には「上田の丸窓電車」として有名な上田交通モハ5250形をはじめ、琴電3000形、一畑デハ1・デハ20・デハニ50形…といえばイメージできるのではないでしょうか。

 

▲巻頭8ページで、本書上下巻で紹介する車両をカラーで紹介。昭和初期の車両ながらカラー写真が多いことは、それらの車両が比較的長寿であったことの現れでもある。

従来の木造車両に代わって鋼製車両が普及し始めていた大正末期から昭和初期は、同時に全国各地で地方鉄道が新規開業する時期とも合致していました。

当時より日本を代表する車両メーカーのひとつであった日本車輌では、標準規格を定めたうえでこれらの鉄道に対し各社の輸送需要に合わせた車両を設計・提案することで、高効率・短納期で低コストの鋼製電車を納品していきました。

 

▲福井鉄道の前身、福武電気鉄道が1930(昭和5)年にデハ11形として新製した2両は、最後は固定編成化のうえ1986(昭和61)年まで活躍した。

本書上巻では上田温泉電軌(現・上田電鉄)、浅野川電気鉄道(現・北陸鉄道)、京都電灯・三国芦原電鉄・永平寺鉄道(いずれも後の京福電気鉄道福井支社、現・えちぜん鉄道)、福武電気鉄道(現・福井鉄道)、琴平電鉄(現・高松琴平電気鉄道)、一畑電気鉄道(現・一畑電車)、宇部電気鉄道(車両はのちに尾道鉄道・水間鉄道に譲渡)の各鉄道に納品された標準設計電車(参考として一部他社製の類似車両も含む)を、当時の日車カタログとともに紹介します。

 

▲昨年秋で最後に残った1両(300号)の営業運転からの引退が発表された高松琴平電気鉄道3000形。1925(大正14)年の製造より大正・昭和・平成・令和の4つの時代を走り抜いた。図面・写真は日本車輌刊『日本車輌製品案内(鋼製車両)』より転載。

これら各私鉄に新造投入された日車標準設計電車は、ほとんどの車両が新造後50年を経た1970年代以降も継続使用され、なかでも琴電300号のように令和の時代まで営業運転が継続される例もありました。いずれも生え抜き車両として各社で天寿を全うする例も多く、引退後も鉄道創業時の記念物として保存されるなど、大切に使用されてきた幸運な車両群と言えるのではないでしょうか。

RM LIBRARY 265 日本車輌の標準設計電車(上)―黎明期の私鉄用鋼製電車―
著者:宮下 洋一(みやした よういち)
B5判/56ページ(うちカラー8ページ)
定価:1,485円(本体1,350円+税)

◆書誌情報はこちら

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