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伯備線の名スポット「布原駅」を鉄道模型で作りたい!初心者がジオラマ製作にチャレンジ

2022.07.20

text & modeling & photo(特記以外):上石知足(鉄道ホビダス)

 伯備線内に存在しながら、その駅は伯備線の列車では降り立つことができない───。そんなちょっと一風変わった駅が岡山県は新見市に存在します。それがこの「布原(ぬのはら)駅」です。この駅へ列車で行くには伯備線の列車ではなく、新見から発着する芸備線直通のディーゼルカーに乗る必要があります。この駅近辺はかつてSLが現役だった当時は撮影名所として名高く、現在でも伯備線を行き交う国鉄型を撮影する名スポットとしてレイル・ファンの間ではよく知られた駅ではありますが…。今回はそんな布原駅を、鉄道模型工作初心者の筆者が、RM MODELS掲載の作り方などを参考にジオラマで再現するのにチャレンジしてみました!

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■まずは「ロケハン」をする。

 何事も「百聞は一見に如かず」。ということで、実際に布原駅まで足を運び、どんな駅かを見てきました。駅は2面2線の列車交換可能な駅で、乗降ができるのは芸備線直通の列車だけですが、交換のための運転停車で伯備線の列車も停車します。

 かつては信号場として開設された経緯もあり、列車交換が度々行なわれるのも理解ができます。むしろ、伯備線の列車は全列車客扱いをしないので現在でも「信号場」に近い存在とも言えます。

 駅舎やベンチの類もなく、あるのは20m級の車両が1両ギリギリ入るくらいの長さのホームのみ。ですが、駅ノートをしまっておける透明ケースはあり、ここが所謂「秘境駅」であることを感じさせます。また、訪れたのは行きの下り列車と、帰りの上り列車の待ち時間が丁度良かった平日朝の時間でしたが、駅前の道を通り抜ける車は2台ほどいました。というのも、この駅付近に民家は点在しており、そのためもあってか車の動きはいくつか見られました。が、駅の利用客は1時間ほどいましたが自分のみでした。

■「布原駅っぽさ」と「手軽さ」を両立させたい!

 カーブの途中に駅が存在する布原駅。となるとやっぱり模型でもカーブ上に駅を設置したい上に、カントが欲しくなるというもの。ということでベースとなるレールは複線カントレールに絞り込み、そこからなるべくRの緩いものが良いと思ったので、今回はKATOのR480複線レールを基準に作りました。
 土台にはスタイロフォームを使用。というのも、他の線路と接続してモジュール的に遊べることも想定はしつつ、基本的には「撮影台」として活用したかったのと、やはりその加工の手軽さから選びました。

 まずは油性ペンでどこに何を配置するか、現物合わせで決めていきますが、今回は「マネしやすさ」も考慮し(というか自分の技量的なこともあり)なるべく既製品やお店で手に入るパーツを使ってなるべく布原駅の印象に近づけつつ、手軽に作れるジオラマを目指して配置しました。

 

 配置が決まったら、レールは両面テープで仮止め。そこから山や築堤をスタイロフォームの積層で表現していきました。続いて、積層したスタイロフォームの角を落とす作業に入りますが、今回は接着してからカットしたので、少し段差が大きい山になりました。実景がかなり盛り上がった山なので、結果的に印象としてあまり違和感なく仕上がりましたが、角を落とす際に一度ペンカットする領域を下書きしてからのほうがよりなだらかな稜線になったのかな、と反省しております…。

■下地は塗るだけ「情景テクスチャーペイント」

 角を落とし終えたら、その上から軽量紙粘土で地形を造成していきます。イメージとして段差を埋めていく感じで盛り付けるといい感じの山になっていきます。粘土の盛り付けが終わったら、地面の色となる下地の塗装になりますが、ここではタミヤの「情景テクスチャーペイント(土 ダークアース)」を使って塗りました。この塗料は塗るだけで土のような質感を持つ地面になる優れモノで、手軽に地面の製作ができます。

 「塗る」というより「盛る」というイメージの方が近いですが、ジオラマ全体にこの塗料を塗り、レール部分のみ普通のアクリル塗料を塗り下地完成としました。この時点でレールと駅前に通る道路となる厚紙は固定しておきます。ちなみに道路は方眼紙の裏面を使用。そのままでは「紙」っぽいので、その上からアクリル絵の具のグレーを筆塗りしました。

■彩となる緑と、線路の要バラストを撒く

●緑の情景を作る

▲スチのりとクラフトボンド両方を試してみたが、クラフトボンドの方が個人的には接着させやすかった。

 下地が完成したら、いよいよフォーリッジやパウダー、バラストといった素材を接着していきます。それまで茶色い山だったものが、一気に「ジオラマ」らしくなる瞬間でもあります。山にはフォーリッジクラスタを盛り付けていきますが、まず下地にクラフトボンドとスチロール用接着剤で軽く固定します。スチロール用接着剤の固定方法はペタペタと数回糸を引かせて圧着させます(個人的にはクラフトボンドの方が接着させやすかった気がしますが…)。その上からモーリンのスーパーフィックス水溶液を垂らして固定させます。ちなみにこの接着剤は乾燥に1〜2日ほどみておいた方が良いでしょう。
 パウダー類も同様に下地に接着剤を塗り、その上に振りかけて軽く固定。その後スーパーフィックス水溶液を垂らして数日乾燥させて固定しました。

●駅の設置・バラストを撒く

▲カーブがNゲージ基準で急ということもあり、現物合わせでカットし、簡易的に曲げたホームでは少々隙間が空きすぎた。が、実車もかなり隙間があるのでこのまま進めることとした。

 バラストを撒く、前にまずはホームを固定します。今回ホームは「建コレ 149-2 駅F2 〜北国の無人駅〜」を使用しました。こちらは元々直線用のホームでしたが、真ん中あたりでカットして簡易的にホームに沿うように加工しました。また、製品状態では茶色だったので、これをアクリル塗料でグレーに塗装。実物のイメージに近づけました。
 固定は車両を仮で載せ、「建築限界」に引っかからない場所に設置。これをしておかないとホームが車両と引っかかってしまいます。が、今回はホーム自体が低い上に、カーブでむしろ隙間が空きすぎてあまりその心配もなかったようです。

▲調味料用ボトルはバラスト類が流し込みやすく重宝する。

▲接着させる前に周囲にはみ出たバラストたちは乾いた筆で払っていく。

 さて、その後バラストを撒いていきますが、今回はモーリンのRストーン(Nバラスト荒目 幹線用)を使用。これを100円ショップで購入した調味料ボトルに入れ替えて散布しました。こうすることで狙いが定めやすくなる上に、量も均一に撒くことができて便利でした。一度撒き終えたら、筆の柄の部分を使って「いかり肩」のような形に整形します。こうすることでより幹線レベルの路線っぽさを演出できます。
 形を整え終えたらスーパーフィックス水溶液を垂らして乾燥させ、固定します。

■仕上げ

 樹木系の素材とバラストの接着剤が乾燥したらいよいよ仕上げです。細かいパーツ類の接着や、ウェザリングをしていきます。ウェザリングは主にバラストに施しましたが、こちらはエアブラシを使用せず(持っていないため)、筆のみで行ないました。最初は「筆だけでどうなるかな…」と思いましたが、溶剤で薄めにした塗料を筆で染み込ませるようにバラストを塗装したところ、意外とそれっぽくなりました。染み込ませるときは線路に近いところを濃いめに、遠いところを薄めにすると割とそれらしくなります。色は実物を参考に調色するとよりリアルになります。

 バラストの塗装が乾燥したら、溶剤を染み込ませた綿棒で枕木とレール踏面についた塗料を拭き取ります。枕木の方は地の色が軽く出る程度で大丈夫ですが、レールは直接通電に関わる部位なので、徹底的に塗料を落としていきます。こうすることで「現役路線」の雰囲気がいよいよ出てきます。

P:浅水浩二

P:浅水浩二

 最後に構内踏切廻りのディテールパーツや駅名標といった細かいパーツ類を設置していきます。今回使用したパーツは、踏切廻りの列車接近ブザーは津川洋行製、カーブミラーはGMの路面電車停留所のパーツから、ホーム上の駅名標はTOMIXの駅のパーツから、沿線電話は津川洋行製となっています。踏切渡り板はアクリル塗料で塗装した方眼紙、架線柱はKATOの複線ワイド架線柱を使用しました。

■完成!

P:浅水浩二

P:浅水浩二

 完成したジオラマがこちら。実際の布原駅が鉄道の撮影ポイントとしても有名なことから、撮影台としても機能できるように作ってみました。381系が振り子で車体を傾けて曲がっていく様はまさに伯備線のイメージにぴったり。実際では列車交換も度々行なわれるため、車両を並べ置いて撮ったり飾ったりするもの良いでしょう。

P:浅水浩二

 個人的には、このアングルから低い目線で眺めるのが一番「映える」のかなと思ったりしています。こちらの撮影台を使った模型撮影の記事も今後考えていますので、そちらも合わせてご期待ください!


■今月のRM MODELSは「ロケハン」特集!

 リアルな情景を製作するには、やはり実景の考察が重要となります。今ではWebやスマホの画像、航空写真からでも、作りたい風景の「雰囲気」だけは探すことが容易にできますが、その地形の様子や地図では見えない建物の細かい部分、人々の営みや空気感・香りなど、実際に訪れなければ知ることのできない情報も多く存在します。
 そこで今回の特集は夏休み直前ということもあり、情景作りのための「ロケハン(ロケーション・ハンティング)」のテクニックを大特集!目的の地域や路線の選定から、ロケハンで抑えて起きたいポイントなどを、編集スタッフ自ら実践して詳しく紹介していきます!

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