特集・コラム

「スペーシアX」新愛称発表記念! 東武の日光・鬼怒川特急の歴史を振り返る

2022.07.15

text:RM

 本日7月15日、東武鉄道が2023年に新たに投入する日光・鬼怒川系統の特急車両N100系の愛称が「スペーシアX」に決定しました! 現行の「スペーシア」の直接の後継車になりますが、より上質なフラッグシップ特急を目指すとされています。

P:鉄道ホビダス編集部(上石知足)

 東武鉄道と言えば、TV CMなどでも日光・鬼怒川系統の特急が盛んにアピールされ、イメージ形成に大いに貢献してきました。ここでは、日光線の方を代表として、簡単にその歴史を紐解いていきましょう。

‘22.1.3 東武鉄道日光線 楡木~東武金崎 P:針谷和則
(今日の一枚より)

この記事のすべての画像をみる

 東武鉄道日光線は杉戸(現・東武動物公園)~東武日光間で1929年4~11月にかけて順次開業しました。開業時から電化複線で、明らかに日光への観光需要を意識した路線です。当時すでに鉄道省(現・JR東日本)日光線は開通済でしたが、宇都宮駅でスイッチバックする線形、しかも単線非電化ということもあり、東武鉄道としては莫大な投資をしても十分勝ち目があると考えたのでしょう。

 東武・下今市駅の待合室に、開業当時のものと思われる観光誘致チラシ(ポスター状に拡大したレプリカ)が掲出されています。曰く、「東武高速電車 近道」「各室に便所あり」「特急は日光へ僅か2時間20分」「日帰りは東武電車に限る」といった名コピーの数々に注目。

 「各室に便所あり」という記述からすると、この時代の特急車両は専用車として1935年から新造されたデハ10系だったと思われます。2扉クロスシートの19m級車でMc車はダブルパンタを掲げて疾走していたそうです。

 戦時中の中断を経て、戦後に特急が復活した時、そのデハ10系の一部がモハ5310形となり、再度特急運用に就きました。このデハ10系~モハ5310形が初代特急専用車と言えるでしょう。

 二代目になるのが、1951年から製造された5700系。今でも東武博物館に1両まるごと(流線形)と先頭部カットボディ(貫通型)が保存されていることで、ご存じの方も多いでしょう。19m級車でMc+Tcの2両編成6本が誕生しました。この頃から、国鉄との日光行き優等列車のライバル物語が盛り上がっていきます。

エバーグリーン賞受賞記念列車運転時の5700系。P:RM

 それ故に三代目の登場は意外に早く、1956年に1700系が登場します。この1700系は後年に後述のDRCと同じボディに乗せ替えて面目を一新するのですが、登場時は5700系を近代化したような貫通型前面に狭幅二段窓を持ち、車体塗分けの境目に太めの白帯を巻いていたことから「白帯車」とも呼ばれました。実は5700系は吊り掛け車とカルダン車が併存していましたが、1700系からは完全にカルダン車となり、速度も向上しています。

 しかしこの「白帯車」の天下も長くは続かず。国鉄が準急「日光」に特急型並みの157系を投入するという動きに対抗し、東武ではついに決定版となる1720系「デラックスロマンスカー(DRC)」を1960年に登場させました。6両固定編成で先頭部は大胆極まりないボンネットスタイル。車内は国鉄で言う一等車(現在のグリーン車)相当の設備を持ち、窓は固定式、完全空調となっていました。

‘89.7.28 伊勢崎線 東武動物公園~姫宮 P:梶村昭仁
(消えた車両写真館より)

 これがライバル対決の決定打となり、国鉄の日光行き優等列車は徐々にフェードアウトしてしまいました。一方の東武では前述の1700系の車体を1720系と同じものに載せ替えて6連2本に組み替え、1720系7本と合わせて9本という一大グループを形成。このDRCが4代目ということになります。

登場時カラーがリバイバルされた100系「スペーシア」。P:RM

 特急車としては短命だった2代目・3代目と異なり、4代目は30年近くにわたって君臨。その後継車が、1990年に登場したご存じ100系「スペーシア」です。末期にはやや陳腐化していたことが否めなかったDRCのイメージを一新し、しかし豪華で快適な設備などはしっかり受け継いでいました。JR東日本との共同で新宿駅にも乗り入れるなど、かつてのライバル対決が新時代に突入したことを強く感じさせたものです。これが5代目特急車となります。

’21.4.24 中央本線 日野~豊田 P:近藤規夫
(鉄道投稿情報局より)

‘21.11.23 東武鉄道日光線 板荷~北鹿沼 P:中川浩樹
(今日の一枚より)

 当初は全編成のカラーリングが統一されていましたが、その後さまざまなカラーバリエーションが登場し、乗客やレイル・ファンを楽しませたことも有名ですね。DRCと同じ9本が製造され、登場から32年が経過しましたが、今なおフラッグシップの地位を占めております。

‘20.10.31 野岩鉄道 上三依塩原温泉口~中三依温泉 P:堀 裕一
(今日の一枚より)

 6代目は、5代目の直接的な後継という位置づけでは登場しませんでした。500系「リバティ」は、日光・鬼怒川線系統だけでなく、伊勢崎線や野田線での運用も考慮したもので、3両固定編成を2本併結し、行先ごとに分割併合運転も可能なことが特徴です。既に3連17本51両という一大勢力となっています。

 そして来年2023年にデビューするのがN100系「スペーシアX」。これこそが正当な100系の後継車で、7代目特急車ということになります。とはいえ、製造予定数は6連4編成と、100系の半分以下。つまり今後は比較的カジュアルな500系と、フラッグシップのN100系に、日光・鬼怒川特急は二分されて発展していくものと思われます。

「スペーシアX」のプレミアムシート。P:鉄道ホビダス編集部(上石知足)

関連記事
2023年、スペーシアは1ランク上へ! 東武の新型特急N100系の内装が明らかに!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
185系