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「首都圏最後の旧型国電」、クモハ12052の雄姿再び…! 東京総合車両センターで撮影会開催

2022.07.11

text & photo:RM
取材日:’22.7.9 場所:東京総合車両センター
取材協力:東日本旅客鉄道東京支社

 2022年7月9・10日の2日間、京浜東北線大井町駅最寄りの東京総合車両センターにて、旧型国電クモハ12052の有料撮影会が開催されました。

 本イベントは、鉄道開業150周年を記念し、同センター内で保管されてきた同車を復元して展示するというもの。

▲東京総合車両センターの高橋(「高」の字は本来は「はしご高」)所長より、お披露目のスピーチがありました。

 そもそもクモハ12052は、26年前となる1996年まで鶴見線・大川支線(武蔵白石~大川)で営業運転に用いられていた車両です。首都圏では概ね1979年までには旧型国電は営業用としては引退していたのですが、なぜこの車両は平成になっても活躍できていたのでしょうか。

▲参加者が入場した時点では、車両の前面に白い布が被せられていました。

▲アンベールされた後、お披露目を記念するテープカットセレモニーが行われました。

 そもそも大川支線の輸送需要がさほど大きくなく、単行電車で十分なくらいであったこと。そして何より大きかったのが、武蔵白石駅では分岐のカーブ部にホームがあり、20m級電車だと接触してしまうから…ということでした。それで17m級両運転台車であるクモハ12形が、ここでは異例に長く運用されたのです。1980年代後半~90年代初頭にかけては、閑散時間帯に鶴見線全線でも運用されたという驚きのヒストリーも持ちます。

▲撮影会は講習・移動時間を含めるとおよそ2時間で、そのうち純粋な撮影タイムは1時間ほど。ピット部分まで参加者が立ち入ることができ、個性的なアングルで撮影する方も多く見られました。

 ですがさすがに寄る年波には勝てず、ついに車両の置き換えがなされることに。新たな17m級電車を用意することは現実的ではなく、なんとここでは「武蔵白石駅の、大川行きホームを無くしてしまう」という方法で、現在のように20m級電車3両編成が乗り入れ可能となりました。

 お役御免となったクモハ12052は、僚車のクモハ12053と共に大井工場(現在の東京総合車両センター)に保管されることとなり、特に052は今なお車籍を有し(所属は鶴見線時代のまま鎌倉車両センター中原支所)、センターの公開イベントで展示されたこともありました。053も比較的近年まで残されていたのですが、残念ながら解体済となっています。

 さてこのクモハ12052、前後でまったく形態が異なることでも有名です。前位(パンタ側)が非貫通、後位が貫通式ですが、それだけの違いではなく、例えば雨どいの入り方や運番表示器の位置・様式も異なります。

 これはもともと同車が片運転台だったのを、まさに鶴見線での単行運転のために両運転台化した名残り。後位側は元々は連結面であった…という目で見ると、形態の違いにも納得できると思います。

 東京総合車両センターでは、今回の撮影会のために主に外観を中心にレストアを施工。欠品部品もなく、塗装も美しく仕上げられていて、大変見ごたえがありました。なお、今回は車内は公開対象となっていませんでした。

 撮影会では安全に気を配りつつも、ファンの要望に最大限応えてもらえるような配慮を感じ、実際参加者の表情からも満足感が伝わってきました。今後もこのようなファン向けのイベントを企画してもらえるとありがたいものですね。

▲今も残る「東ナハ」の標記。現在の中原支所所属車は「横ナハ」となっていますが、ここでは引退時の標記が残されているようです。

▲イコライザーを持つDT11形台車。

▲シンプルな形状の排障器。車輪はスポーク式。

▲電気側の床下には太い配管が目立ちます。模型でも再現ポイント!

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