185系

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RMライブラリー264『105・119系』発売中です!

2022.06.25

この6月、RMライブラリーの第264巻『105・119系―昭和50年代の1M電車―』が刊行されました。
国鉄105・119系電車とは、昭和50年代後半の国鉄晩年期に、車両の老朽化が深刻化していた地方線区用として新製された、小単位運転用の通勤形(105系)および近郊形(119系)電車です。RMライブラリーに掲載される対象としては、これまでで最も新しい車両とも言えそうです。

▲表紙は福塩線用として新製された105系の工場出場時の姿。

サブタイトルに「1M電車」とありますが、これは通常の新性能電車では2両に分散配置していた制御関係の機器を1両に集約することで、2~3両といった地方線区の実情に合った編成を組むことを可能にした車両のことです。この電車の登場により、それまでは車齢40~50年を迎え老朽化の著しい、戦前~戦後生まれの旧性能電車に頼らざるを得なかった地方線区の短編成列車を代替できるようになりました。

▲105系のページは東急車輌(現・総合車両製作所)、近畿車輌のデザイナーによるデザイン・外部塗色案から始まる。

通勤形の105系は3扉のロングシート車として、1981(昭和56)年より福塩線、宇部・小野田線に投入されました。福塩線にはこの系列で数少ない中間車であるモハ105・サハ105形がそれぞれ4両ずつ新製されましたが、わずか数年で先頭車化改造により形式消滅しています。

▲新製中の105系をメーカーによる製造途中写真も含め紹介。

さらに奈良・和歌山線など西日本地区での電化進展により、105系の需要は増加しましたが、国鉄の財政事情悪化のため車両の新製が難しくなり、やむを得ず増備分の105系は、当時首都圏で余剰となった103系通勤形電車からの改造で賄われることになりました。
これら改造105系は主に500番代の車号が充てられたほか、外観的にも4扉の車体や種車の運転台をそのまま流用するなど、103系の面影を残す改造内容となっていました。105系の大半はJR西日本に継承されましたが、仙石線用に改造された4両のみはJR東日本に継承されました。

▲119系は飯田線用に投入された、3扉セミクロスシートの近郊形電車。新製時は105系と同様、非冷房車であった。

一方で、路線長200kmに近い飯田線の旧性能電車代替用として、1983(昭和58)年に営業を開始した近郊形電車が119系です。基本構成は105系に準じますが、長距離での運用を想定して室内のセミクロスシート化・トイレの設置が行われたほか、起終点の標高差が700mを超える勾配線区でもあるため、勾配抑速ブレーキが設置されました。

こちらは全車がJR東海に継承されたのち、現在ではすべて引退していますが、一部車両がえちぜん鉄道に譲渡され、改造のうえ7000形として活躍しています。

本書では105・119系電車を図面や表組なども加えた豊富な資料で紹介するほか、巻頭に8頁カラーグラフを加え、105・119系の多彩なカラーバリエーションを紹介します。

RM LIBRARY 264 105・119系 ―昭和50年代の1M電車―
著者:福原俊一(ふくはら しゅんいち)
B5判/56ページ(うちカラー8ページ)
定価:1,485円(税込)

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