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東京口の引退から10年… 東海道本線で活躍した211系を振り返る!

2022.05.13NEW

text & photo(特記以外):上石知足(RMM)

▲ラストランとなった「急行伊豆」の全ての行程を終え、通い慣れた東京駅で小休止する東海道本線の211系。

‘12.5.13 東海道本線 東京

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 2012(平成24)年5月12日・13日に、東海道本線で最後となる211系のラストランが行なわれてから今日で10年。10年前と現在では、上野東京ラインの開業や田町車両センター廃止、それに伴う高輪ゲートウェイ駅の開業とその周辺の開発など、211系だけでなく東海道本線の東京口近辺を取り巻く環境は、ここ数年で目まぐるしい変化を遂げています。ここでは東海道本線の211系を中心に、車両の概要から晩年の活躍などを振り返っていこうと思います。

■国鉄末期に登場した銀色の近郊型電車

‘10.11.21 東海道本線 東京

 211系は1985(昭和60)年に登場、翌1986(昭和61)年から東海道本線にて営業運転を開始した近郊型電車です。この211系は、当時新たに開発されたボルスタレス台車、軽量ステンレス車体に加え、界磁添加励磁制御を採用しました。なお、これらの新機軸は211系のために開発していましたが、採用の第1弾は1985年3月に営業を開始した205系でした。
 省エネ効果は大きいものの、その製造コストの高さから広く普及しなかった電機子チョッパ制御に代わり開発された界磁添加励磁制御。これは従来の抵抗制御の発展形で導入コストも低く、回生ブレーキとの相性が良かったことから国鉄末期〜JR初期にかけて多くの電車に採用された制御方式です。このような新機軸を織り込んだ新しい直流近郊型電車として211系はデビューしました。

■多彩な番代区分

▲高崎車両センター所属の211系3000番代。現在でも高崎地区でその活躍を見ることができる。

‘22.4.1 高崎線 上尾~宮原 P:玉木裕一
(鉄道投稿情報局
より

 番代区分や形態差は数多くあり、このバリエーションの豊富さから根強いファンが多く存在するのもまた特徴です。当初は暖地向け(東海道本線用)セミクロスシートの0番代、同ロングシートの2000番代、寒地向け(東北本線・高崎線用)セミクロスシート1000番代、同ロングシート3000番代で構成されていました。初めはグリーン車含め全車平屋でしたが、民営化後の1989(平成元)年に2階建てグリーン車を導入。また、東海エリアには1986年に0番代が新製配置され、JR東海に移行後の1988(昭和63)年には仕様を一部改め5000番代として増備されました。
 1991(平成3)年に211系の製造は終了。JR西日本に所属したクモロ211・モロ210「スーパーサルーンゆめじ」を除き、JR東日本が499両(うち250両は国鉄から継承)、JR東海が250両(うち8両が国鉄から継承)となりました。

■E233系3000番代の増備により淘汰された東京口211系

▲中間に組み込まれた2階建てグリーン車。写真の車両はサロ212形100番代と呼ばれるもので、113系用グリーン車サロ124形からの改造編入車。

‘11.12.17 東海道本線 品川

 導入後の主な変化としては、2004(平成16)から東北本線、高崎線用の編成にグリーン車が連結されました。それに伴い、113系に組み込まれていた2階建てグリーン車からの編入車と、東海道本線の211系のグリーン車を合わせ、大規模な編成組み替えを実施。これにより211系グリーン車の陣容は東海道本線は全て2階建て、東北・高崎線系統は2階建てと平屋の混在編成が多くを占める形になりました。
 2011(平成23)年からはE233系3000番代による置き換えが本格化し、その数を徐々に減らしていった東京口の211系。置き換えペースは早く、翌年の4月で完全に置き換えが完了され、東海道本線の定期運用から引退しました。その後、田町車両センターに所属していたこれら211系の一部は甲信地区の115系置き換えに回り、現在でもその活躍を見ることができます。

■今見ると懐かしい!東日本で活躍した211系のディテール!

▲211系の2階建てグリーン車に掲げられたロゴ。なお写真は上野口211系のもの。

‘10.11.24 東北本線 上野

▲懐かしい田町車両センターを表す「東チタ」の所属標記。田町車両センター自体は、211系引退後の2013年3月に廃止された。

 ‘10.11.21 東海道本線 東京

▲新製当初は東京口に配置され活躍した211系平屋グリーン車のサロ211・210。後年は寒冷地対策の改造が施され、車番も1000番代に改めて上野口に転属した。

‘11.10.29 東北本線 上野

 211系の編成のアクセントとなっていた2階建てグリーン車。そのグリーン車に描かれていた「Double Decker」のロゴは今改めて見ると懐かしさすら感じます。また、晩年は上野口(東北本線・高崎線系統)に活躍の場を移した「サロ211」と「サロ210」は、ダブルデッカーが基本となった現代のグリーン車とは異なり、国鉄由来の古き良き近郊型平屋グリーン車の風情を色濃く残していました。

▲晩年、一部編成に取り付けが進んだ強化型スカート。

‘11.12.17 東海道本線 品川

 さらに、晩年になると211系にも強化型スカート取付の流れが波及し、一部編成に従来のスカートの上から強化板を取り付ける形のものが登場しました。従来のものを活用したとはいえ、その無骨なスタイルは見た目を大きく変えました。

■2012年に運行されたラストラン「急行伊豆」

‘12.5.12 東海道本線 川崎―品川 P:森 康平
(鉄道投稿情報局
より

 先の通り、2012年5月12日・13日に東海道本線211系のラストランとなる「急行伊豆」が運転されました。これは東京から伊豆急下田の往復で運転されたもので、211系による伊豆急線内入線は臨時快速などでの実績しかなく、この当時でも数年ぶりとなる珍しい光景が繰り広げられました。

▲参加者限定で行なわれた車両撮影会。手前から伊豆急100系クモハ103、185系、211系、伊豆急8000系。気がつけば手前の3形式はすでに引退済となってしまった。

‘12.5.12 伊豆急行伊豆急行線 伊豆急下田 P:福田智志
(鉄道投稿情報局
より

 また、伊豆急下田駅構内では、ツアー参加者限定で車両撮影会も行なわれ、この時並んだ車両が伊豆急100系クモハ103、185系、そして211系というラインナップ。どれも現在では引退済となってしまった車両ばかりです。また、奥には営業運転をしている伊豆急8000系なども並び別れを惜しむレイル・ファンを賑わせました。

 各地で活躍し、第一線から退いた後も地方線区で活躍を続ける211系。東京口や上野口で走っていた10両・15両の超大編成はもう見られませんが、あの頃の面影を探しに、現役の211系に会いに行くのもいいかもしれませんね。

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185系