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特集・コラム

トランクにぎゅっと閉じ込めた情景… Zゲージで楽しむミニマムジオラマ!

2022.05.08

modeling & text & 製作途中写真:森田益也(アトリエ森爺)
photo:羽田 洋

 ロクハンから発売されている「トランクレイアウト ミニマムサポートキット」は旅行カバンほどのアルミケースに、レイアウトが展開できるジオラマベースが入ったもので、このベース上にレイアウトやジオラマを作れば、いつでもどこでも、このトランクを開く場所さえあれば情景模型を楽しめるというものです。頑丈なアルミケースに覆われているため、収納にも便利な上、鉄道模型の運転会のみならず、地域の文化祭や展覧会などにもちょっと目を引く“出しもの”として持ち込めそうな大きさです。今回、この「トランクレイアウト」を使ってミニマムなレイアウトを製作しました。

レイアウトの詳しい制作過程はこちらから!

■テーマは「秋」と「冬」。それぞれをトランクレイアウト2台で表現!

 今回の製作にあたり、情景の四季をどの季節にしようか迷いましたが、一般的にレイアウトやジオラマには緑が豊かな盛夏か、草花が咲きほこる春先が多いようです。春夏は旅行に行く機会も多く、旅先で見た風景の印象が強く残っているからでしょうか?そこであえて、自然が厳しい環境へと変化しつつも、同時に美しさを見せる秋と冬の二つの季節に挑戦してみました。
 今回は「トランクレイアウトミニマムサポートキットA トンネルタイプ」を2つ使い、秋と冬をテーマにひとつづつ作り分けました。線路配置は別売りの「トランクレイアウト トンネルタイプ専用レールセット」を基本に、それぞれポイントを2カ所に追加し、スイッチバック状に配線しています。なお、両者の配線には変化をつけてあります。

■地形の追加加工と草地の処理 秋と冬、共通の加工

 レイアウトボードの中でも基礎部分となる地面を作り込みます。地味な作業になりますが、この部分でいい加減にしてしまうと後戻りができないのと、パウダーや下地の処理を怠ると隙間からレイアウトベースの色などが透けてしまい、リアルさが薄れてしまうので、この作業はしっかり行ないましょう。基本的にパウダーやバラストはNゲージ用のものを使用しました。バラストに関しては近年発売されているZゲージ専用のものを使うのもオススメです。

■色鮮やかな紅葉の樹木!秋の山林を再現

 地面ができたら今度は樹木を植え込んでいきます。季節を表現するのに植物は重要なアイテムです。これを植え込むことで、レイアウトに俄然表情が出てきます。


 “秋”の情景では、情景用樹木の専門メーカー 里山工房製のNゲージ用樹木模型を使いました。これは樹木の幹と葉となるスポンジが別々に売られており、手作業で樹木を作るものですが、色々な枝ぶりの幹を選べることと、スポンジの色の種類も豊富なため、自分の気に入る形の樹木を作れるのが大きな特徴です。また、樹木などの植物の大半は、厳密なスケールにとらわれる必要がないため、色々なスケールへの流用が可能です。ここでは100本近い紅葉樹木を「植林」していきました。

■一面の銀世界!雪に覆われた樹木で厳冬の山林を再現する!

 “冬”の情景では、ロクハン製の常緑樹「リアルZサイズツリーセット」をベースにタミヤの情景テクスチャーペイント・粉雪ホワイト」を筆で塗り付け、雪に覆われた樹木を再現しました。
 それ以外の地面の雪景色には情景素材メーカー・モーリン製の「雪職人4号 粉雪・細目」を使いました。これは雪を表現するパウダー「スノーパウダー No.514」とそれを固定させる「マットメディウム」がセットになったもので、ふわりとした粉雪の表現に適しています。
 地面に「マットメディウム」を塗り、「スノーパウダー」を100円ショップで買った茶こしで振るいながら撒いていき、これを何回か重ねながら行なうことで、ふわりとしながらも厚い雪が降り積もった雪国の情景としました。

■情景作りの醍醐味!小物の配置でドラマを演出

 “秋”の情景では、レイアウト中心にある池も紅葉の山林と並んで大きな見せ場となります。ここではKATOから発売されている「リアリスティックウォーター」を使いました。この「リアリスティックウォーター」とは、ボトルに液状の水面素材が入っており、それをそのまま着色を済ませた水面としたい場所の底面に流し込むと、あとは乾燥を待つだけで透明度の高い水面が得られるというものです。仕上げに人形を配置し、湖畔にたたずむ恋人や農作業をする人を配置しました。

■レイアウト作りはクライマックスへ

 “冬”の情景では、仕上げとしてスノーパウダーで覆ってしまうため、これ以上ディテールの追加はありません。またポイント廻りは動作を確実なものとするため、パウダー類を撒くことは行なっていません。
 このトランクレイアウトと同様のレイアウトをNゲージで作ろうとなると、600×900mmのレイアウトボードが必要になってしまう大きさですが、トランクレイアウトは新聞紙1枚よりも一回り小さなサイズなので、部屋のちょっとしたスペースにも展開が可能かと思います。

 さて、みなさんならトランクにどんな風景を「閉じ込めて」みますか?

レイアウトの詳しい制作過程はこちらから!

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