text & photo:瀧口宜慎(RMM)
鉄道写真を愛好している趣味人にとって、いわゆる“お立ち台”と呼ばれるような風光明媚な場所は、それこそ実車誌や実車系Webサイトで数多く紹介され、模型的視点で取り上げられることはほとんどなかったように思います。それには様々な理由があったからなのですが、今回はそんな「お立ち台」を参考に鉄道模型ジオラマの計画を練ってみようと思います。
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■鉄道の撮影地“お立ち台”のジオラマを作りたい!
実車の鉄道写真でよく言われる名撮影スポット、いわゆる“お立ち台”の風景は、実際にジオラマにした場合、大きな空間が必要になることや、それに見合う本線級の長い列車が必要なことなどから、多くの模型ファンには、そのまま受け入れられる題材ではなかったとも言えるでしょう。しかし、プラ16番やNゲージを主体に楽しむファンにとっては、長編成の列車は昨今それほどハードルの高いものではなくなっているのも事実。そこで車両展示も兼ねた「ジオラマ」として“お立ち台”を“模「景」”として楽しめるでは?と考えてみました。
■ジオラマ製作にピッタリな「景色」と「路線」を探す
そこで今回訪れたのが紀勢本線の冷水浦〜加茂郷間。ここは複線電化路線ながら、上下線が段違いのひな壇状に通っており、普通から特急列車までが通過するスポットです。また、その昔には蒸機や旧型電機による客車列車や貨物列車も走り、役者にも事欠かない場所です。波の穏やかな小さな入江も間近にあり、“模「景」”的な風景として条件を満たしている場所と言えそうです。
紀勢本線からこの入江が見えるトンネル間の明かり区間は5〜6両程度。ジオラマとして模型を展示するなら程よいな長さと言えます。また、この入江の海水は底まで見えるほど透明で、それだけでもジオラマとして作り甲斐のある場所といえるでしょう。ここは鉄道線とそれを取り囲む緑、小さな入江と漁村の風景に魅力があります。鉄道外の建物などのストラクチャーも鉄道を引き立てるエッセンス。散策しながら街並みをどう作るか練るのも良いでしょう。
■ひな壇線路と入江をジオラマとしてギュッと凝縮!
ここまで大雑把に見て来たひな壇状の線路と入江を情景としてイラストに起こし、イメージを膨らませたいと思います。幅は400〜500mm、奥行きは300mm程度を想定したものです。実景に対してやや車両の見えるスペースが少ないですが、そこは模型らしく、いろいろアレンジを加えていこうと思います。さらに入江周辺の漁具倉庫なども情景としては味気ないので、木造の民家や旅館などに置き換えて考えてみるのも良いでしょう。
ここでは実景をベースとしたジオラマ製作の計画の練り方をご紹介しました。写真撮影がメインで出かけた旅先や、はたまた近所の散歩でも、ちょっと視点を模型的に捉えてみると、また違った発見や景色に出会えるものです。皆さんも模“景”をイメージしながら散策してみてはいかがでしょうか?
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※取材写真は2019年7月時点のものです。
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