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長いこと持っていると、どうしても動作不良や接触不良といった不具合が起こってしまうのは鉄道模型という趣味をする上で悩ましい問題です。それらを解決したり、未然に不具合を起こさないように予防するのがメンテナンスの役割。今回はKATO製の電車タイプ動力ユニットの車輪交換のやり方についてご紹介しましょう。
今回は電車に用いられるタイプのボギー式動力ユニットの分解、および消耗した車輪の交換について見ていきましょう。今回例に取ったのはE531系に使用されているフライホイール搭載の現行タイプですが、よほど古いタイプではない限り、台車の着脱・分解方法など大筋はほぼ同様です。気動車や新幹線動力も構造的にはこれに準じます。
■車体・床下機器・台車の取り外し
他社製品のメンテナンスと同様に、KATO製品の場合もまずは車体と動力ユニット、動力ユニット本体と台車をそれぞれ分離します。現行製品は部品構成や各パーツの作りも洗練されており、分解・組立もストレスなく行なうことができます。
▲車体と動力ユニットの固定はツメによるスナップ式。外す際は片手で車体・床下の中央付近を保持、反対の手の指先でツメのある台車付近の車体裾を広げ、動力ユニットを抜き取ります。
▲台車の取り外し。動力ユニット本体と台車の間にマイナスドライバーを差し込み、こじるように外すと駆動用シャフトも一緒に外れます。台車側面を軽く下に押しながらだと外しやすくなります。
■台車の分解
動力台車は、底面以外が一体となった台車枠に車輪・集電板がはめ込まれ、その下から底面の蓋を兼ねたギアケースをはめ合わせる構造。見た目に比してシンプルですが、その分ガッチリと堅牢な印象です。
▲車輪と集電板は、台車上部に出ている集電版の先端を指で押しつつ、台車側枠の内側にマイナスドライバーを差し込み、集電板の軸受部分を押し下げる形で外します。片側2ヶ所の軸端を台車枠から外せば、逆サイドは楽に外れます。
▲車輪と一緒に、その上に入っていたウォームギアも外れて台車の分解が完了しました。車輪をあらかじめ用意しておいた新品に取り替え、再組立に入りましょう。
■再組立
分解の手順を逆に辿って、各パーツを組み上げていきます。取付向きの間違いなどはほぼほぼ起こることのない設計になっていますが、各部のはめ合わせには常に気を配りましょう。
▲注油を終えたら集電板と車輪をセットで取り付けますが、集電板の軸受部分にはホコリが入りやすいので、取付前に確認の上ピンセットで取っておきます。
▲台車が正常にはまったら、ギアケースを取り付けます。このケースに前後の違いはないので、どちら向きでもOK。
▲台車を動力ユニットに取り付けます。まず台車から出ているシャフトをフライホイールの中心の穴に差し込みます(六角形同士のはめ合わせになっています)。台車は取付部にあてがい、まっすぐ押し込めば元通りにはまってくれます。
■完成!
真新しい車輪を履いて復活したモハE531。テストランで問題なければメンテナンス終了です!
■おまけ:ゴムタイヤ交換のコツ
車輪の路面に付き、粘着力を稼ぐゴムタイヤ。構造的には輪状のゴムがはめ込まれているだけなので、劣化・損傷が起こった場合などは新品に交換ができます。ここではその交換作業のちょっとしたコツをご紹介します。
▲まずは古いゴムタイヤをピンセットで外します。
▲用意した新しいタイヤは、まず一方の車輪の踏面に引っかけて…
▲ピンセットを踏面に沿って回す形ではめていきます。全体にわたって均一に力を加えることで、走りのガタつきを抑えることができます。
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