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10年がかりの大工事! 東武鉄道スカイツリーライン(伊勢崎線)竹ノ塚駅、複々線の高架化完成!

2022.03.13

text & photo:RM
取材日:’22.3.12 取材協力:東武鉄道

 東武鉄道スカイツリーライン(伊勢崎線)の竹ノ塚(たけのつか)駅(東京都足立区)は、同線では都内最北に位置する、各駅停車のみ停車する駅です。複々線区間にあって長年地平にホームがあり、前後の踏切が「開かずの踏切」として町の発展にとって障害、かつ危険な存在ともなっていました。単純に複々線であるだけでなく、西新井寄りの東京メトロ千住検車区竹ノ塚分室への入出庫線、谷塚寄りには当駅折り返し電車用の引き上げ線があり、極めて複雑な線路配置を持つことから、これらの解消は長年懸案ではあったものの、なかなか着手には至らなかったのです。

▲駅西口から見上げたホームの防風壁。ガラス張りのため、高架が街を分断するイメージを和らげている。P:東武鉄道

 しかしついに機運が整い、東武鉄道と足立区との共同事業として2011年に連続立体交差事業の都市計画が決定。2012年より工事が始まりました。工事はさながら「パズル15」のような、ひとつずつの要素をずらしては空いた場所に何かを構築し(仮設の場合もある)、次にまた何かをずらす…といった気の遠くなるような段取りを踏む形になりました。2016年に下り急行線が高架化、2020年9月に上り急行線が高架化されていますが、この間、緩行線(各駅停車)のホームが手付かずだったわけではありません。

▲現状の仮設の地平ホーム(上り線)。左手の高架のところに新ホームが出来ている。P:三ツ矢健太

▲長年橋上駅舎であったが、高架化工事中、地下に仮設の駅舎が設置されていた。P:三ツ矢健太

 下り急行線が高架化されたことで、その真下に下り緩行線を仮に移動し、仮設ホームが稼働。追って2018年に上り緩行線も仮説ホーム側に移動しています。前後して既存の橋上駅舎も廃止され、仮設の地下駅舎が稼働しました。つまり現時点で地平に残っているように見える各駅停車用ホームは既にかつてのそれではなく、とっくに仮設のものに置き換わっていたのです。

▲高架下の広々とした駅入り口。右手に券売機、正面のパイロン部分に改札機が並ぶ予定。

▲新しい駅舎入り口から、すぐ脇の現状の緩行線ホームおよび電車を見る。供用開始時には線路・ホームを横切る通路も供用開始となる。

 こうして順当に進捗してきた高架化工事もついにほぼ完成し、本日新しい各駅停車用の高架ホームとその真下にある新駅舎が報道公開されました。設計上のテーマは「明るい、シンプル、自然的」というもので、「明るい」を実現するためにホームの防風壁の一部をガラス張りとし、「自然的」を実現するためにホームの天井などに木組みを採用。「シンプル」という点では全体に過剰な着色を抑えて調和させています。

▲コンコース部は広々としている。ホームへの階段は3ヶ所に設置。

▲大型のエレベーターは20人乗り。急病人を運ぶ際のストレッチャーも余裕をもって乗せることができる。

▲トイレ入り口のところに設置された凝ったデザインの木製ベンチ。

▲子供連れの方が安心して利用できる、こどもトイレ、おむつかえコーナーなどもある。その外観が70000形電車を意識したデザインであるのも楽しいところ。

 地平のコンコースは広々としており、ホームへのエレベーターは20人乗りの大型のものを採用。3ヶ所にある階段のうち2ヶ所にはエスカレーターも併設されています。トイレ部分も非常に広いうえに設備が大変充実しており、通常の男女用の他、バリアフリートイレ、こどもトイレ、授乳室、おむつ替えコーナーまで設置。さらにその手前にある待合スペースには、足立区の姉妹都市である栃木県鹿沼市産の木材を使ったベンチが設置されています。

▲ホーム幅も十分に広く、安心感がある。左手を走行するのは上り急行電車。

▲木組みでできた装飾的な天井は、テーマのひとつである「自然的」を感じさせるもの。

▲下り急行線は1線だけ独立した高架線になっている。折しも200型「りょうもう」(1800系リバイバルカラー)が通過中。

 高架のホームに上がると、前述の通り屋根の下に木組みの天井がズラリとぶら下がっており、見る者の目を和ませます。このホームは両側を急行線に挟まれた位置にあり、特に上り急行線とは一体の高架橋構造。一方、最初に高架化された下り急行線は離れた位置にある単線高架構造となっています。ホームドアも準備中で、現時点では上り線ホームに設置済。供用開始までに下り線にも設置完了の見込みですが、実際にそれを稼働させるのはホームの供用開始から約4週後の4月16日(土)予定だそうです。

▲ホーム上から駅東側は、ガラス張りの壁でよく見渡すことが出来る。

▲駅南側にある第37号踏切。かつては長年警手の方が手動で遮断機を操作していたことで知られたが、今回の踏切廃止でようやく完全な安全が保証されたことになる。P:三ツ矢健太

 東武鉄道だけでなく地元の利用者にとっても念願であった高架駅への移行は3月20日(日)。そのために前日の3月19日(土)、緩行線は22:40にて運転を終了し工事に入ります。そして20日は初電からこの新しいホームで電車が発着。同時に現状の地下駅舎と自由通路は廃止となります。もちろん、最大の目的であった駅前後の2つの踏切もこれにて廃止。交通の流れも安全でスムーズなものになるでしょう。

▲仮設の地上ホームに進入してきた各駅停車(東京メトロ13000系)。真上の高架が下り急行線である。

 なお、高架化工事はこの後、緩行線の線路および仮説ホームの撤去、地下構造物の撤去、高架の引き上げ線の建設に入り、最終的な完工は2023年度を予定しています。

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