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特集・コラム

貨物ファン必見! 川崎市の「2つの操車場」の全貌を明らかにする企画展!

2022.02.10

text & photo:RM
取材日:’22.2.10 場所:ミューザ川崎シンフォニーホール
取材協力:川崎市市民ミュージアム

 川崎市・等々力緑地にあった川崎市市民ミュージアムは、2019年秋の水害で甚大な被害を受け、現在休館中(既に現在地での再建は断念されている)だが、学芸員の専門知識と豊富な収蔵品を活用すべく、市内の施設にて企画展や催しを各種開催中だ。そして現在、川崎駅最寄りのミューザ川崎シンフォニーホールにて開催中なのは、市内の鉄道施設に着目した「鉄道操車場物語―新鶴見から塩浜へ―」である。

▲川崎駅西口からペデストリアンデッキ直結のミューザ川崎シンフォニーホール4Fが会場となる。

  川崎市は重工業が盛んで、また東海道本線が通っていることから古くから交通が発展してきた街だ。今の新鶴見機関区・新鶴見信号場がある場所、そこにかつては貨車のヤード入換を行う広大な新鶴見操車場があった。

▲新鶴見信号場会議室に掲げられてきた大型の構内略図の写真パネル。

 川崎駅を通る東海道本線が旅客列車増で線路容量がひっ迫し、1929(昭和4)年に別線として品鶴線が建設され、その中心的施設として建設された。操車場としては1984年に役目を終えるが、本展では全盛期のハンプ入換の模様などが克明に記録された写真・映像が展示されている他、なぜ衰退したのか、その後その土地はどうなったのか、というところまで掘り下げて解説がなされている。

▲ハンプやカーリターダーの構造・働きが理解できる展示。

 もう一つの大規模な鉄道貨物施設が、臨海の埋め立て地に建設された塩浜操車場だ。建設は戦後の昭和30年代で、合わせて自治体も出資した神奈川臨海鉄道が設立された。

▲戦前の埋め立て地の建設途上の様子の鳥観図。

▲塩浜操車場は貨車の入換だけでなく貨物の受け入れも行っていたことから「塩浜操駅」とも呼ばれ、その駅名板が展示されている。

 本展では、埋め立ての計画図に始まり、操車場建設中の模様、神奈川臨海鉄道所蔵の貴重な実車部品なども展示。なお、同操車場は川崎貨物駅と改称され、今も現役の施設である。

神奈川臨海鉄道のスタフとDD5513のナンバープレート。

 この新鶴見・塩浜という2つの大規模な操車場は立地も性格も異なっており、これまで同列で語られることは少なかったと思う。今回、同じ川崎市内にあったといういきさつから本展が企画されたのはユニークな着眼点であり、解説文も理解しやすく、見ごたえがあった。

▲路面電車とトロリーバスの展示コーナー。

 順路最後には、番外編として「川崎市電とトロリーバス」というコーナーも展開されている。同市電は意外に歴史が浅く、工場地帯への従業員輸送のため戦時中に開業したものだ。そして前述の塩浜操車場などが実働するまで、三線区間にて貨物輸送が行われていたという特異な経緯を持つ。

▲臨海部のトロリーバスの終点部。架線が折り返しのためにループ状になっている。周囲は茫洋とした感じだ。

▲川崎市電の実車部品も展示。

 トロリーバスもやはり臨海部への路線であり、工場地帯と切り離して語ることができない。ここでは市電に関する実車部品なども展示されており、貨物ファンだけでなく、路面電車ファンにも見逃せないものとなっている。

 会期は2月16日(水)までと残りわずかだが、交通至便かつ入場無料のこの機会、ぜひ見学されてはいかがだろうか。また、同展図録(1,500円・税込)も非常に充実しており、こちらはWEB通販も行われている(会期終了後も販売は継続されるが、既に残部僅少とのこと)。

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