modeling & text & photo:佐藤鉄雄
ジオラマやレイアウトを作る際に置きたいストラクチャー。でも製品そのままよりかは人とは違うものが欲しいですよね。でもイチから全部作るのは荷が重い…という場合は、実際の建物をリフォームするように模型でも壁に一枚「貼り重ねて」印象を変えてみるのはいかがでしょうか?ここでは市販のジオラマ用プラシートやペーパーシートを外壁材に使って、TOMIXの定番ストラクチャーである「商店セット」のリフォームに挑戦してみようと思います。
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◆TOMIX「商店セット」が今回の主人公!TEZMO SYNDROME(テツモ・シンドローム)10話
▲TEZMO SYNDROME 10話では今回の題材である「商店セット」の話となる。平凡なモデルゆえに様々な遊び方ができる点が魅力だ。
■施工例その1:窓を塞いで表情を変える!
▲窓・扉の冊子はガラス部をマスキングの上、吹付塗装。一見手間ではあるが、筆での色差しよりも均一な仕上がりを得やすい。
無塗装で使える津川洋行の「シーナリーペーパー レンガ」N用(品番SP-N1)を使った塗り替えなしのお手軽改装の作例です。ファサード(正面)の上半分に窓を塞ぐ形で貼り付けし(干渉するヒサシと窓縁は削除)、建物の表情を形づくる窓を隠すことで、イメージがガラッと変わります。また、各作例共通の加工としてサッシの塗装とPCで描画または写真加工したものをラベルシールに印刷した看板を貼り付けしています。
■施工例その2:歩道のタイルも壁になる!
▲シャッターはガラスパーツのサッシを削った上から貼り付け。自販機は商店セットの付属品だが、塗装してステッカーとの一体感を出した。
こちらはこばる「プラノイタ」(現在はさかつうから同等品が発売)を2種使った作例。同シリーズは塗装前提ということもあり、以下の作例は改造後全塗装とスミ入れをして印象の変化と実感アップを狙いました。
ファサード上部に貼った「コンクリートタイル1」(品番3749)は歩道などのタイルを模したものですが、壁に貼ることで装飾材にもなります。トタンを模した「波板」(品番3745)は横向きにしてシャッターに。本来の用途に捉われず、柔軟に「見立て」をすることで意外な活用方法が見つかります。
■施工例その3:窓を生かしてイメチェン!
▲古典的な木造家屋以外での下見板の利用例。前面は実物によく見られる少し傾斜した形とした。このスタイルは汎用性が高い。
プラノイタ「下見板貼」(品番:3746)を、ファサードの上半分を覆う装飾材として利用したもので、製品の窓を生かす形としています。窓にはカーテンの写真を印刷したものをガラスの裏から貼り付け。室内を作っていないことのカモフラージュも兼ねています。
ショーウィンドウ下の窪みには津川洋行のニューデザインプラスチックペーパーから「NDP3 レンガ150」(品番11703)を、左右の柱には「NDP6 タイル長方形150」(品番11706)を細く切って貼っています。
■施工例その4:余った屋根の使い道
▲そば屋の想定で、暖簾や商品サンプルは看板とともにラベルシールで自作。ショーウィンドウは片側だけにし、逆側は塗装で窓枠をつけた。
後述しますが屋根のパーツが1点余ったので、その活用を兼ねて作ったものです。屋根から瓦5段分を切り出し、テントに代えて貼り付けて和食店風の店構えとしました。ファサード上部の加工は施工例2と同じ手法で、同作例のシャッターと同じ「波板」の素材を貼っていますが、場所と色の違いで見え方が全く違ってきます。
引戸は元のガラスパーツの取っ手モールドを切り取り、マスキング塗装をして表現しました。ちょっと変ですが、商店街に混ぜておけばさほど違和感もないのでは…?
■施工例その5:ここまでやればもはや別物!?
▲津川のタイルは近代的な店舗・家屋に汎用できる好素材。ここでは横向きに貼っているが、縦にも使える。
▲トタン張りにした後部。製品の窓は間取りを考えると少々多すぎるので、多少減らした方がそれらしくなる上に、窓抜きの工数削減にもなる。
ファサードだけでなく、建物全体にプラシートを貼り重ねた例です。自作に近い手間にも思えますが、製品のアウトラインを活かして容易に水平・垂直・平行が出せるのは大きなメリットです。通りに面した側だけ改装した雰囲気にしようと、ファサードは近代的な白のタイル張り(津川洋行「NDP6 タイル長方形150」)後ろ側は貧相なトタン張り(プラノイタ「波板」)でチグハグな雰囲気にしました。また屋根もプラノイタ「トタン屋根(瓦棒)」(品番3748)で葺き替え、これにより余ったパーツを先述の施工例4に流用しました。
このように、見慣れた商店セットを少し手を加えることで簡単に「化かす」ことができました。みなさんも胸に秘めた改造プラン、実践してみてはいかがでしょうか?「為せば成る、為さねば成らぬ何事も」です!