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惜別…「ザ・ラストワンの肖像」…EF64 37

2021.11.09

text:RM

0番代では希少な特急牽引経験機

 国鉄時代の代表的な直流電機、EF64・65・66形。それぞれ登場から50年以上という歳月が過ぎ、今や最も典型的な形態となるEF64 0番代、EF65 500番代、EF66 0番代の中ではそれぞれ1両だけが現役を続けています。ムック『ザ・ラストワン EF64・65・66』が11月1日に発売となるのに合わせたWEB企画「ザ・ラストワンの肖像」では、この「それぞれの最後の1両」となった3両のプロフィールを説き明かしてまいりましょう。

▲新製時からの青色塗色へ復帰後、「信州カシオペア」の先頭に立つEF64 37。
‘20.10.25 篠ノ井線 稲荷山~篠ノ井 P:石橋宏規(今日の一枚 Memories Specialより)

 EF64 0番代の唯一の現役機は、JR東日本高崎車両センター高崎支所所属の37号機。落成はちょうど50年前となる1971年4月28日、メーカーは東洋電機/汽車会社でした。汽車会社は日本初の民間機関車メーカーという由緒ある会社でしたが、本機製造の翌年、川崎重工業と合併したことで会社は消滅。結果的に汽車会社が製造した最後の国鉄型電機となりました。

▲上越線から中央線系統へ戻ってきた37号機。団臨のお座敷客車を牽く。
‘83.2.26 篠ノ井線 羽尾信号場 P:大久保広樹(今日の一枚 Memories Specialより)

 EF64形の中では3次量産車に属しており、形態的には同心円状のフランジが付く内バメ式テールライト、前面通風口アリ、扇風機カバーなし、前面下部ステップが短い(左右両端が尾灯下で切れている)…といった特徴があります。また、旅客列車牽引用にEG(電気暖房装置)も搭載していました。塗色は青15号+クリーム1号警戒色という新性能直流電機標準色で、これはEF64形1号機が登場した際に制定されたもの。すなわちEF64形で新製時から茶色だった機関車は存在しません。

▲甲府機関区でEF15などと共に留置される37号機。どちらも多くの両数が活躍していた。
‘83.9.15 甲府機関区 P:石原幸司(今日の一枚 Memories Specialより)

 新製配置は甲府機関区で、中央東線の旅客列車牽引に活躍(ただし、1975年には同線の普通客車列車は全廃となったため、貨物列車も牽くように)。その後のキャリアを顧みても中央東線との縁が非常に深いカマとなります。初めての転属が1979年4月のことで、この時に上越線を管轄する長岡運転所に異動。同所ではEF64形1000番代の本格投入を前に、0番代5両を受け入れて乗務員訓練を兼ねた運用を行いました。特筆すべきは、この時に寝台特急「北陸」の牽引を経験していること。当時はヘッドマークが付かなかったこともありあまり注目はされなかったようですが、結果的には国鉄時代にEF64 0番代が寝台特急の先頭に立った唯一の例となりました。

▲2003年に「あけぼの」牽引に抜擢された時の貴重なワンシーン。
‘09.7.12 東北本線 上野 P:伏木田 潔(今日の一枚 Memories Specialより)

 3年後の1982年に甲府機関区に出戻り、1984年に八王子機関区、1986年に高崎第二機関区に転属し、1987年には旅客会社であるJR東日本高崎運転所に所属ということになります。この時の同僚は36・38・39号機で、連番の4両が揃い踏みとなりましたが、うち37・38号機の2両は甲府常駐とされる時期が多く、やはり「中央東線のカマ」という印象が強かったものです。そして1990年、ATS-P形保安装置搭載のため、テールライトを外バメ式に交換し、表情が幾分スッキリしたものとなりました。

▲「あけぼの」時代は青色の38号機と人気を二分した。
‘09.7.24 高崎線 本庄~岡部 P:浅路 誠(今日の一枚 Memories Specialより)

 2003年に突如として車体色がぶどう色2号=茶色一色に塗り替えられます。これは中央本線塩山~甲府間開業100周年記念のイベントのためでしたが、好評のためその後2018年までの長きにわたりこの塗色を維持することになりました。そして2009年に最大のドラマ発生…! 長岡運転所に38号機とともに転属となり、「あけぼの」の上野~長岡間の先頭に立つようになったのです。わずか1年間で終了となりましたが、EF64 0番代がヘッドマーク付きで寝台特急を牽引したのはこの時が唯一のこととなりました。

▲2019年に青色に戻り、若返った印象になった。
‘19.6.27 中央本線 八王子 P:久保祐介(今日の一枚 Memories Specialより)

 その後は再び高崎に戻り、2019年に実に16年ぶりに青色の標準塗装へ復帰。近年はイベント列車の他、工臨列車や配給列車の先頭に立つのが主な役目でしたが、特にレール輸送の工臨はキヤE195系の投入により終了しており、去就が注目されるところです。

いつから「ラストワン」だったのか…?
 EF64 0番代はJR東日本の他、JR東海、JR西日本、JR貨物に引き継がれていましたが、この3社については2010年前後に消滅済。JR東日本では2015年に高崎の同僚であった38・39号機が廃車となり、以後37号機が「ラストワン」となっています。

【2021.11.9追記】EF64 37は、11月8日夜から9日にかけて、高崎→秋田総合車両センターに配給輸送されました。これにて廃車になると推測されます。なお、11月14日、秋田総合車両センターで開催される有料イベントに展示予定です(既に募集終了)。

 さて、ムック『ザ・ラストワン EF64・65・66』は全国書店にて11月1日から発売ですが、「ネコパブショップ」でご購入いただくと、限定特典として「EF66 27/EF65 501 A2判両面ポスター」をプレゼント致します! (両面印刷ですので、特典としては1枚になります)。お求めは下記リンク先へ。

🔶ザ・ラストワン EF64・65・66 新刊情報

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