text & photo:根本貫史
■情景作品の基礎作り
情景作りの初めの一歩となるのが、「地形」と「地表」作りです。作りたい情景の題材が決まったら、それを使用するベースのサイズ内に収まるように構図を決めます。情景工作自体が初めての方は、まずは平坦な地形となる題材を選択した方が無難です。しかし平坦に見える地形でも、実際には線路や道路などに多少の高低差はあるので、まずはここで解説する地形作りの基本を理解し、少しずつ高低差のある地形へチャレンジしてみましょう。
■地形作りに必要な素材と基本構成
最初は地形作りに使う素材と、地形作りの基本構成から解説します。山や丘など、隆起した地形を作る方法はいくつかありますが、ここで解説するのは、スタイロフォームやスチレンボードといった発泡系素材を積層していく方法で、比較的簡単な情景工作では主流の工法となっています。これらの素材を積層させることで高さや勾配を構築しますが、基本原理は地形図の等高線と同じで、段差を作りながら積層させ、面取りする(角を落とす)ことで斜面が作り出せます。
●発泡スチロール
発泡系素材の代表格。安価で加工しやすいことから造形素材として古くから用いられている。積層・切削することで大まかな地形が作れる。
●スタイロフォーム
「スタイロフォーム」は商品名で、正式には「押出法ポリスチレンフォーム断熱材」 という。発泡スチロールより発泡粒子が 細かく加工性に優れている。
●スチレンボード
掲示用パネルや建築模型などで使われる発泡系素材。板厚が薄いので、低層の地形や道路や畦道など、わずかに嵩上げしたい場合に用いる。
●石粉粘土(紙粘土)
微細な石粒を主原料に水と糊を混ぜ合わせた造形用粘土。紙粘土に近いが軽量で加工性に優れている。紙粘土でも代用可。
●地形の基本構成
▲スタイロフォームを積層・切削して製作中の山(写真奥)と、帯状にカッ トしたスチレンボードによる畦道(手前)。線路はベース(レイアウトボー ド)の表面に直付けで、その周囲の地形を嵩上げしている。
▲山の断面を見ると積層 の様子がよくわかる。
▲畦道はt5.0のスチレンボードで嵩上げ。 普段平坦に見える地形 でも、実際にはこのような僅かな高低差が随所に存在する。
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