text & photo:RM
取材日:’21.10.15 場所:南栗橋車両管区
取材協力:東武鉄道
東武鉄道では、「SL大樹」運行開始から4年を経て、魅力をさらにアップするため展望客車を導入することとなり、この度2両の完成をもって報道公開された。
▲手前の茶色い方がオハテ12 1、奥の青い方がオハテ12 2。両車の向きは互い違いになっている。
従来「SL大樹」の客車はJRから譲渡を受けた14系客車であったが、固定窓のため音や匂い、煙そのものをもっと直に感じたいという声が上がっていた。そこで、開閉式窓を持つ12系客車(JR四国から譲渡を受けたもの)をベースに、さらに展望デッキを設けた今回の展望客車を登場させたのである。
▲オハテ12 1の展望室部分側面。幅・高さがそれぞれ異なる3箇所の開口部が設けられている。
▲オハテ12 2の同じく展望室部分側面(逆側面)。
形式はオハテ12形とされており、12系のオロ12形(元はオハ12形で、「ムーンライト高知」用にグリーン車化改造されたもの)がベース。編成端ではなく中間に連結されるものとなる。注目の展望デッキ部分は片方の車端から1/4ほどの長さで、大小3箇所の開口部(片側側面につき)が設けられ、下部には柵が設置され、上部は完全に素通しとなっている。
▲展望室の車内。簡易的なシートやポールが設置されている。
▲車体下部まで開け広げられた開口部により、走行時の開放感は大きいことだろう。
室内にはベンチとヒップレスト、スタンションポールが設けられ、安全面にも配慮。木造らしい彩色にレトロ調の壁灯で暖かな雰囲気が演出されている。
▲ボックスシートとなる車内。席ごとに大型テーブルも設置されている。
▲テレビモニターやパンフレット台などが備えられるギャラリースペース。
▲アテンダントカウンター。
客室部分は、グループやファミリーに適したボックス席となる。旧型客車のシートをイメージしたもので、さらに席間に大型テーブルが設置されている。軽食を摂ったりするのにも便利だろう。
▲オハテ12 1(元JR四国オロ12 5)。
▲オハテ12 2(元JR四国オロ12 10)。
今回、オハテ12 1と同12 2の2両が登場したが、それぞれ外装が異なっている。1番は茶色(ぶどう色2号)にかつての3等車を示す赤帯をアクセントとして加えたほか、本来アルミサッシの窓枠も茶色に塗装した。一方2番は10系軽量客車をイメージした青15号塗装にグリーン車を彷彿とさせる薄緑色の帯をアクセントとして加えている。窓サッシは灰色のままだ。
▲真鍮製の大樹エンブレム(800×1400mm)が取り付けられている。
この展望客車は11月4日から「SL大樹」に導入される予定。また、それに先んじて10月17・30日に旅行商品として運行される「DL大樹」にて一足早くお披露目のツアーが行われることになっている。
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