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■鉄道旅行の快適性を追求した100系
「○月の鉄道のデキゴト」は、当月にあった過去の鉄道の「デキゴト」(路線の開通や車両の新製・廃車、そのほかの事件など)を振り返るコーナーです! ティーブレイクにでも気軽にお楽しみください。
▲「NS」マークが輝きを放っていた100系。二階建て車2両のうち、手前が168形、奥が149形。写真は登場直後、試運転時のもの。
’85.5.15 山陽新幹線 岡山 P:松本テツヤ(消えた車両写真館より)
本日は、36年前となる1985年10月1日のデキゴト。つい先日、2021年10月1日にオール二階建てのE4系新幹線が定期運用を終了していますが、実はこの日、初の二階建て新幹線である100系が営業運転を開始。36年間に及んだ二階建て新幹線車両の歴史の、最初と最後が実は同じ日付だったことになります(E4系はこの後臨時列車としての運用がありますが)。
▲リニア・鉄道館に保存されている100系の123-1。オールMの0系と違い、100系のX・G編成では先頭車と二階建て車が付随車とされた。また、試作車は側窓が小窓だったところ、量産車からは大窓が復活(0系の初期車以来)した。
’10.12.28 愛知県名古屋市 リニア・鉄道館 P:RM
100系はオール二階建てではなく、16両編成中の2両が2階建てでした。0系登場から21年を経てのようやくの後継車両で、この段階では従来以上の高速化を志向するのではなく、より快適な旅行を提供する…というのが100系の基本的な設計方針だったのです。
▲ライトも「鼻先(連結器カバー)」も丸かった0系に対し、切れ長のライト、楕円形の連結器カバーとなった100系先頭部。
’10.12.28 愛知県名古屋市 リニア・鉄道館 P:RM
2階建て車のうちの1両は8号車168形の食堂車で、1階が売店、2階が食堂という構造。当然食堂からの眺めは最高で高い人気を集めましたが、結果的には新幹線最後の食堂車ということにもなりました。
▲リニア・鉄道館では0系、381系、モハ52形などと並ぶ。
’11.2.4 愛知県名古屋市 リニア・鉄道館 P:RM
もう1両が9号車149形で、1階に初の試みとなるグリーン個室、2階にグリーン席が設置されました。この二階建て車2両、当初側面に「NS」をデザイン化した赤いマークが入っておりましたが、これは「New Shinkansen」を意味するもの。後年消去されてしまいましたが、それだけに登場時に実見した方にとっては印象深いものだったでしょう。
▲100系の後を継いだ300系は明確な高速志向の設計となり、100系にあった旅を楽しむゆとりのようなものは減じてしまった感がある。なお、写真一番奥の300系量産車は既に展示終了している。
’10.12.28 愛知県名古屋市 リニア・鉄道館 P:RM
その後の100系は、試作車と同様の食堂車込みのX編成、食堂車に代えてカフェテリアとしたG編成、JR西日本の二階建て車4両組み込みのV編成(グランドひかり編成)などのバリエーションが広がりましたが、2004年頃までに二階建て車を含む16連での運用は終了。その後は山陽新幹線での短編成(当然二階建て車は含まない)仕様が2013年まで活躍しました。東海道・山陽新幹線においては後にも先にも二階建て車は100系のみ。その功績を称え、JR東海のリニア・鉄道館には先頭車123-1と食堂車168-9001(試作車)が編成状態で展示されております。