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この12種の顔、見分けられますか…? 17m級国電の顔をイラストでクローズアップ!

2021.09.27

イラスト:Y.Tsuneyama
text:RMM

 先日、RM MODELS公式Twitterで投稿したこの画像。皆さんは、それぞれの車両がどういう形式・仕様の電車であったかわかりますでしょうか?一見、色も形も様々なごく普通の旧型車両たちに見えますが、共通するのは「17m級」という車両全長にあります。この中には国鉄車をはじめとして譲渡された私鉄車もあり、さらには交流電化の試験車まで様々です。そんなバリエーション豊かな17m級電車を今回はこの正面イラストを軸に紹介していこうと思います。

■上段左1番目 クハ16001

 鉄道省の鋼製電車では初めてのシングルルーフ車である旧31系電車は大半の車両が標準的な更新修繕工事を受け、比較的スタイルが揃っていたが、異端車も存在した。その中でもクハ16001は更新のタイミングが遅く、運行番号窓なし・前面雨樋が直線のままで出場(大半の旧31系は更新の際に雨樋を曲線化)。後年、雨樋をいじらずに運行番号窓を追加したため、一番左側の窓が他より下がっているのがわかる。

■上段左2番目 クモハ14形

 旧32系は初の長距離用であったが、電動車のみは17m級という車体長ゆえに輸送力に欠けており、2扉車ということもあって早くに首都圏から地方線区に転出した。横須賀線電車は70・80系除き国電では初のツートンカラーが本格的に採用された線区であった。

■上段左3番目 クハ16264

 17m級電車が活躍する舞台の中心は首都圏で、関西圏では電化当初から20m級電車が新製配置されていた。だが、阪和線は例外的に17m級電車が配置され、オレンジバーミリオン塗装に加え、関西地区特有の改造も受けるなど徐々に「浪速っ子」のスタイルとなっていった。新製時はダブルルーフ(旧30系)であったが、更新時にシングルルーフ・切妻屋根に改造されている。

■上段左4番目 クモハ12001

 意外にも17m級の両運転台電動車として新製された形式はモハ34形のみであった。数少ないモハ34形を種車とするスカイブルーのクモハ12001は大糸線時代に霜取り用パンタを装備し、同形式では珍しいダブルパンタ車となっていた。

■中段左1番目 クモハ12015

 両運車クモハ12形の大半は片運車クモハ11形の改造車であった。旧31系のクモハ12015は福塩線所属車で、最晩年は0系の青帯や14系以降のブルートレインの地色としてもお馴染みの青20号を纏っていた。福塩線の塗装変更は17m級電車の淘汰がほぼ終わった時期であったので、17m級車で青20号を纏った車両はごく少数であった。

■中段左2番目 クモハ11102

 仙石線配属の車両は特異な改造車が各形式で多く存在した。それは17m級車でも同様で、旧30系のクモハ11102もその1 両であり、元々切妻・非貫通構造であった車両に貫通扉と貫通幌を整備したもので、既存の貫通前面の扉よりやや狭幅のものとなっている。1960年代頃の仙石線車両は、国鉄一般型気動車に準じたクリーム色と朱色のツートンカラーに塗られていた。

■中段左3番目 クモハ12027

 宇部・小野田線は早い時期から首都圏より都落ちした17m級車の独壇場であった。運用上両運転台車が必要とされ、旧31系のクモハ12027も改造で両運転台化された車両のひとつ。後に20m級車に追われ廃車となったが、同車のみは牽引車として残り、前面に黄色の警戒色塗装を施された。

■中段左4番目 クモニ13013

 首都圏と関西圏では古くから荷物電車が運転されており、木造荷物電車の置き換え用に片運車のモハ33および両運車のモハ34が荷物電車に改造された。一般の営業用電車が新性能化された後も、1970年代まで白昼堂々と大都市圏を疾駆した古豪電車であった。ちなみにこのクモニ13013はモハ34形からの改造車である。

■下段左1番目 クモヤ790-1

 地方線区の交流電化の実用化を目指して試作された交流電車で、旧31系のモハ11形より改造された。走り装置以外についても様々な試作要素が盛り込まれており、前面形状も他にはないユニークなものとなった。駆動方式は液体式気動車のエンジン部分を交流電動機に交換したような簡易的なものであった。なお、旧型国電形式でハイフンが付いた車番とされた車両はそれほど多くない。

■下段左2番目 東武鉄道クハ456

 戦争により被災した17m級電車の多くは、車両不足に悩む大手私鉄を中心に払い下げられ、自社で復旧するケースが多数見られた。東武鉄道のクハ456もそのような車両のひとつで、同形式の中でも最も東武テイストに染まった1両であった。種車はモハ50059で、木造車からの鋼体化改造車である旧50系の叩き直しグループである。前面は東武スタイルの貫通式。

■下段左3番目 西武鉄道クモハ329

 西武鉄道は戦災国電を最も多く購入し復旧させており、さらに国電タイプで一気に自社車両の標準化を推し進めた。その出自はさまざまで、 書類上と実車で経歴が重複または異なるといった、戦後混乱期ならではの現象も見られた。同系列は高度成長期の同線を支えながら、1970年代まで活躍を続けた。

■下段左4番目 京成電鉄クハ2012

 京成電鉄でも18両の戦災国電の払い下げを受けており、このクハ2012は旧31系のサハ39038(サロ37009)が種車となっている。車両限界の問題から車体を唐竹割りにして車体幅を200mm縮小させてまで就役させるなど、当時の逼迫した輸送事情が垣間見られる。なお、本書の調査で戦災国電が鋼屑として売却された史実も新たに判明している。


 この記事は2021年10月発売の「写真とイラストで綴る国鉄17m級電車」の記事から抜粋しております。旧型電車のオーソリティ宮下洋一氏によって、1960〜70年代の時期を中心に、全国各地で活躍した国鉄17m級電車を模型的な視点で解説。晩年の事業用車や私鉄へ流れ活躍した車両もくまなく紹介。17m級電車に全貌に迫る、電車ファン必携の一冊です。

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