特集・コラム

9月の鉄道のデキゴト「高千穂鉄道 台風被害で全線運休、そのまま廃止へ(2005年)」

2021.09.14

text:RM

現在は観光鉄道として一部存続

 「○月の鉄道のデキゴト」は、当月にあった過去の鉄道の「デキゴト」(路線の開通や車両の新製・廃車、そのほかの事件など)を振り返るコーナーです! ティーブレイクにでも気軽にお楽しみください。

▲高千穂あまてらす鉄道には、高千穂鉄道TR-101、202が保存され、運転体験が行われている。
‘21.3.27 高千穂あまてらす鉄道 高千穂 P:阿部郁夫(今日の一枚より)

 今回は、16年前となる2005年9月のデキゴトから振り返ってみましょう。同年8月に発生した強力な台風14号(アジア名「ナービー」)は、9月6日、九州西部をなめるように北上。日本海に抜ける進路を取り、九州から関東まで広い範囲に大きな被害をもたらしました。この時、宮崎県の高千穂鉄道は再起不能なほどの被害を被り、9月6日にて全線運休、結果としてその後二度と立ち上がることはできなかったのです…。

▲高千穂線の前身である日ノ影線時代に撮影されたC12。同線無煙化は高千穂開業後の1974年だった。
’70年頃 日ノ影線 日ノ影 P:笹本健次(消えた車両写真館より)

 第三セクター鉄道である高千穂鉄道(延岡~高千穂、50.0km)の前身は、国鉄→JR九州の高千穂線。大元の建設計画としては、高千穂~高森まで延伸して高森線(現・南阿蘇鉄道)へとつながる遠大な計画でした。高千穂までの延伸は1972年と比較的新しい出来事でしたが、途中の日ノ影までは戦前の1939年に開業。当時の線名は日ノ影線といいました。

▲高千穂鉄道廃止後、TR201は四国の阿佐海岸鉄道へ譲渡された。11年間活躍した後、同鉄道のDMV化によって役目を終えている。
‘09.8.2 徳島県徳島市 津田港フェリーターミナル P:栗田富夫(鉄道投稿情報局より)

 元々過疎地の盲腸線ということで経営的には厳しく、1989年に高千穂鉄道として第三セクターに移行。新製車両を揃え、トロッコ列車も運行するなど、積極姿勢を見せていたのですが…。

▲高千穂あまてらす鉄道のトロッコ列車が高千穂橋梁を行く。
‘20.9.19 高千穂あまてらす鉄道 高千穂橋梁 P:阿部郁夫(今日の一枚より)

 台風14号による大雨により、第1および第2五ヶ瀬川橋梁が流失、それ以外の部分でも甚大な被害を受け、即日全線で運転休止されました。比較的被害の少なかった槇峰~高千穂間だけでも復旧させる案もあったのですが、結果としては段階的に廃止届が提出され、最終的に2008年12月28日に槇峰~高千穂間が書類上廃止となり、営業線としての使命を終えたのです。

屋根のないトロッコ客車は爽快感抜群! 乗降はできないが、天岩戸駅を通過するところ。
‘19.11.23 高千穂あまてらす鉄道 天岩戸駅跡 P:丸山賢一(今日の一枚より)

 当線の一番のハイライトは、深角~天岩戸間に架けられた高千穂橋梁。河底から橋桁上面までの高さ105mという、「日本の鉄道で最も高い鉄橋」として知られていました。それを観光資源として活かすべく、現在は「高千穂あまてらす鉄道」が観光列車を運転しています。正規の鉄道会社ではなく、遊園地内の遊具などと同じ扱いとなりますが、トロッコ的な解放感ある客車で高千穂橋梁を渡るのは魅力的なアクティビティとして注目されているようです。

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