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■現状沖縄県で唯一の鉄道
「○月の鉄道のデキゴト」は、当月にあった過去の鉄道の「デキゴト」(路線の開通や車両の新製・廃車、そのほかの事件など)を振り返るコーナーです! ティーブレイクにでも気軽にお楽しみください!
▲国場川橋梁を渡る1000形2両編成。京急電鉄のラッピング車だ。元日の撮影だが夏を思わせる陽光なのはさすが沖縄。
‘21.1.1 沖縄都市モノレール 壺川~奥武山公園 P:吉原勇樹(今日の一枚より)
今回は、18年前となる2003年8月のデキゴトから振り返ってみましょう。現在、沖縄県唯一の鉄道(軌道系公共交通機関)となる沖縄都市モノレール(愛称:ゆいレール)が、この年の8月10日に開業。これは沖縄県の鉄道としては実に58年ぶりの復活とも言えることでした。
第二次大戦で激戦地となり、戦後は長くアメリカ統治下に置かれた沖縄は、鉄道不毛の地と言わざるを得ない状況でした。しかしさらに遡れば実は沖縄電気軌道なる路面電車や、軽便鉄道である沖縄県営鉄道などが存在していたのです。前者は戦前のうちに業績不振により廃止、後者は戦争によって破壊し尽くされそのまま復活しなかったという、悲しい歴史があります。
▲2019年の新規開業区間を行く。勾配や曲線が多く、ゴムタイヤを持つモノレールの特性が大いに発揮されていることがわかる。
‘19.10.2 沖縄都市モノレール 経塚〜浦添前田 P:森 政貴(今日の一枚より)
戦後は過度なまでの自動車交通への依存により渋滞が激しく、公共交通であるバスは定時運行が困難でした。そこで1970年代初頭(本土復帰と前後する時期)には早くも「新交通システム」の導入が計画俎上に上がり、その後も準備や検討が徐々に進んで跨座式モノレールに候補が絞られ、1982年に現在の沖縄都市モノレール株式会社が設立。そこからもなかなか話は進まなかったのですが、ついに1996年に着工、前述の通り2003年8月に那覇空港~首里間(12.9km)が開業したのでした。
▲2019年の首里~てだこ浦西間延伸開業当日、新たに終着駅となったてだこ浦西駅の模様。
‘19.10.1 沖縄都市モノレール てだこ浦西 P:森 政貴(鉄道投稿情報局より)
車両は2両編成の1000形で、流線形の先頭部、眺望に優れた側面窓を持ち、乗車すること自体が観光体験になる魅力を持っています。増結運用は設定されていませんが、将来的には3両編成化を目指す方針が決まっているとのこと。その後路線は2019年に首里~てだこ浦西間(4.1km)が延伸開業し、総延長17.0kmとなり現在に至ります。
この沖縄にとって唯一の鉄道が二度と失われるようなことがないよう、そして末永く地元の方、観光客に愛されるよう、レイル・ファンとしては願うばかりです。