■国鉄/JRでの蒸機動態保存のパイオニア
「○月の鉄道のデキゴト」は、当月にあった過去の鉄道の「デキゴト」(路線の開通や車両の新製・廃車、そのほかの事件など)を振り返るコーナーです! ティーブレイクにでも気軽にお楽しみください!
▲12系レトロ客車時代のSL「やまぐち」。牽引機は不動のナンバーワン、C57 1。
‘15.8.1 山口線 長門峡~渡川 P:石黒義章(鉄道投稿情報局より)
3回目となる今回は、42年前となる1979年8月のデキゴトから振り返ってみましょう。蒸機の煙が絶えて数年が経過していた国鉄線上において、画期的な動態保存蒸機列車としてSL「やまぐち」号が運転開始されたのが1979年8月1日のことでした。
▲煙突から爆煙、大サービスのドレンの白煙もあいまって大迫力。
‘17.12.9 山口線 長門峡~渡川 P:原口雄二(今日の一枚より)
当時の高木文雄・国鉄総裁の肝煎りとして企画された観光列車という位置づけで、牽引機は梅小路蒸気機関車館の動態保存機の中からC57 1が選ばれました。客車は通常仕様の12系で、運転区間は小郡(現・新山口)~津和野。黄色い「やまぐち」のヘッドマーク、赤い地色のナンバープレートでドレスアップされたC57は、当時盛んにTVなどの一般メディアでも「貴婦人」としてもてはやされたものでした。
▲C56 160が先頭に立ち、次位にDD51 1043を連結したSL「やまぐち」。
‘17.12.17 山口線 津和野~船平山 P:大野克樹(鉄道投稿情報局より)
その後も運転区間は不変で、今なお高い人気を誇る「やまぐち」ですが、車両の面では下記のような変遷がありました。
●牽引機
・初期の頃から予備機とされていたC58 1が1984年に引退。
・1987年にC56 160が戦列に加わる。単機での牽引は困難で、C57 1やDLとの重連で主に運転された。2018年に「やまぐち」から引退。
・単機で列車牽引可能な2両目の蒸機としてD51 200が本線復帰整備され、2017年より「やまぐち」の先頭に立つ。
▲12系に代わり、完全新製された「旧型客車」35系。
‘19.3.23 山口線 津和野~船平山 P:久宗勝弘(今日の一枚より)
▲2017年に戦列に加わったD51 200。ナンバープレートの地色は度々変更されている。
‘19.8.1 山口線 長門峡~渡川 P:中安喜一(鉄道投稿情報局より)
●客車
・当初の通常仕様の12系から、1987年に茶色に白帯という姿にカラーチェンジ。
・1988年、12系を大改造したレトロ客車が導入され、2006年の大規模リニューアルを経て2017年まで長期間活躍。
・2017年、完全新製された35系客車が導入される。外観は旧型客車のイメージを強く打ち出していて、一層魅力的かつ快適な編成となった。
▲これまでも代走として度々先頭に立っていたDD51だが、現在は一定期間継続してあらかじめDL牽引であることが発表されて運行されている。
‘21.5.2 山口線 津和野~船平山 P:石川伸也(今日の一枚より)
▲今やDD51形以上に旅客列車の先頭に立つ機会が希少なDE10形が、重連で「DLやまぐち」を牽引。
‘21.8.1 山口線 津和野~船平山 P:東迫和孝(今日の一枚より)
さて2021年8月現在、2両の「専用機」C57 1、D51 200とも故障中または検査中で戦列を離脱しています。その代わりの目玉が、ディーゼル機関車牽引の「DLやまぐち」号です。DD51単機、もしくはDE10重連で35系客車を牽く様は逆に新鮮で、乗車派からも撮影派からも共に人気を集めています。「やまぐち」運転開始の頃、「DD51が牽く客車列車」などにさほどの希少価値がなかったことを考えると、この列車が活躍してきた期間の長さ、そして情勢の変化が改めて実感されることでしょう。
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