特集・コラム

シーナリー散歩 Scene:4-5 天竜浜名湖鉄道 尾奈駅

2021.08.01

取材日:’21.4.15
text & photo(特記以外):羽山 健(RM)
同行取材:遠藤イヅル

 レイル・マガジンで好評連載中の「シーナリー散歩」。全国の鉄道路線を訪ね、思わず模型にしてみたくなるような魅力的なシーナリーを見つけてご紹介しております。2021年9月号では、7月号につづいて天竜浜名湖鉄道の後編を掲載。前編が天竜二俣駅1ヶ所だけで構成したのに対し、後編ではほかにも見どころなる駅やスポットを多数取り上げました。WEB編の今回は、路線中かなり西の方(下り方)に位置する尾奈(おな)駅を紹介してまいります。

▲イラスト:遠藤イヅル(再掲)

▲尾奈駅の棒線ホームに入線してきた掛川行き列車。

 当駅、別に文化財などに登録された駅舎…というわけではありません。とはいえ1936年の開業時から存在するものではあり、また形態的には非常に類例の少ない特殊なものではないでしょうか。地図で見ると線路と道路(国道301号)が並行していますが、線路は築堤で一段高いところを走っており、駅舎は道路との間の狭い敷地、築堤の法面にめり込むようにして建っています。

▲尾奈駅駅舎全景。線路と道路の高さの違い、そして駅舎敷地の狭さがわかる。

▲駅舎を右手から見る。自転車置き場、飲料自販機や電話ボックスなど、生きている駅ならではの小道具は各種健在。右手で見切れているのはウナギの魚籠を象ったトイレ。

 ホームが一段高いところにあるため駅舎は二階建てとなり、内部の階段を通って2階に相当するホーム高さまで上がるという構造。かつては有人駅であったからこそこの構造なのでしょうが、無人駅となった今となってはホームにつながる露天の階段さえあれば用は足りそうです。駅舎の老朽ぶりを見ると、いつまでも残されるとは限らない…と思ってしまいます。

▲右手を向くと、思いのほか幅の広い階段がある。

▲踊り場から1階を見下ろしたところ。

▲踊り場から2階を見上げたところ。

▲待合室の一角、床面を見ると出札口らしき斜めの痕跡がある。

▲階段口の横に木製のベンチ。

▲待合からホーム方向を見ると、新しめの階段3段分の段差がある。

 駅舎中央部で口を開けている入り口から中に入ると、左手に業務用の扉(締切)、右手に上り階段があります。階段の幅は思いのほか広く、また木材の板目がよく見える状態となっており、木造校舎の階段を思わせるものです。踊り場で180度折り返して2階に着くとそこに広めの待合室がありますが、その一角はかつて出札口があったと思われる痕跡がありました。ホームへはさらにここから3段ほどの段差を上がって到着です。

▲新所原方ホーム先端。

▲掛川方ホーム先端。

▲駅舎の正面向かって左側面を上から見る。差し掛け屋根が撤去された痕跡がある。

▲かつて有人駅だった頃の業務用の開口部が塞がれ、屋根は切り詰められている。

 ホームは1面1線のいわゆる棒線ホーム。見晴らしは良く、また周囲には思いのほか多数の住宅が建っていることも知れます。駅舎の背面を見ると、明らかにかつてはホーム側に差し掛けられた屋根があったと思われますが、老朽化によって切り詰められてしまったようです。また、有人駅であった頃に使われていたであろう業務用階段らしき部分もありました。

▲ホームの掛川方先端から振り返ったところ。撮影位置は元のホーム高さで、嵩上げされた部分とのスロープ状のつなぎ目を見ている。

 ホームの掛川方(上り方)へ進むと、途中でスロープを経てホーム高さが低くなります。普段列車が止まらない部分は新設当時のホーム高さが残っているのでしょう。階段2段分に相当するくらいの高さがあり、となると、先ほど待合室からホームへは3段の階段があると記しましたが、元は1段程度の段差だったのかもしれません。

🔶レイル・マガジン2021年9月号(450号)新刊情報

  • このエントリーをはてなブックマークに追加