本文・photo :秋山 仁
「スタートレイン」という名の鉄道食玩を覚えているだろうか。これは、かつてバンダイが2002年~2006年頃に発売していたもので、Nスケールの鉄道玩具が入っていた。模型と一緒にラムネ菓子が入っており、全国のスーパーのお菓子売り場などで販売されていた。当時の販売価格は330円。一見普通の食玩だが、この値段とは思えないほど精巧に作られた模型が入っていたのだ。
今回、偶然中古店で未開封品を購入することができたのでその魅力に迫っていこうと思う。
▲今回入手したスタートレイン
■スタートレインを開封
205系を開封してみる。開封すると、車両本体・ディスプレイ用のレール・駅用プレート・台車枠・ラムネが入っている。車両は台車枠以外組立済となっておりデカールの貼り付けなども特に必要ない。ラムネが茶色く変色していたのが衝撃的であった。
- パッケージ内容はこのようになっている。台車枠はBトレのように別パーツになっている。
- ラムネは15年以上経過しているためか、茶色く変色し割れていた。
- 箱の裏面はこのようになっている。
■スタートレインの特徴
●内装や表記類がしっかりと再現されている!
205系を開封してみてまず思うのは、模型としての完成度の高さである。車体には車番や行先表示機だけではなく、所属表記や優先席マークまでもが再現されている。内装を見てみれば、つり革があり、優先席の部分は赤く塗り分けられている。
- 車体は精巧に再現されている。埼京線205系 クハ205-141がプロトタイプだが、発売当時はまだ6ドア車が組み込まれる前のため、6ドアステッカーがない姿となる。
- 乗務員表記や表記類などがしっかりと再現されている。内装に注目するとつり革までも再現されている。
- 優先席マークが印刷され、その部分の座席は赤く塗り分けられる。行先は大宮行。
●他の車両と連結可能!
車両の前後には伸縮する密着式連結器が備わっており、自由に連結させることが可能である。今回は205系と113系を連結させてみた。プラスチックの経年劣化で硬くなっており完全には連結できなかったが、画像のようにくっ付けることができた。
●2Wayの駅用プレート
レールと一緒に付属する専用プレートは、2つの使い方ができる。まずは駅のホームとして使える。これは知っている方も多いであろう。もう一つは、リレーラーとしての使い方だ。こうすることで簡単に車両をレールに載せられる。
- ホームとして使った場合はこのようになる。レール上にいくつか穴が開いており、好きな場所に取り付けられる。
- リレーラーとして使う場合は、レールの両側に取り付ける形となる。
●車両の分解が可能
「スタートレイン」は車両を分解して遊ぶことが可能。車内をじっくり観察できるほか、車両の構造も学ぶことができる。ここでは、特に内装がよくできているE26系カシオペアを紹介する。モデルとなった車両は、カシオペアスイートが4室並ぶ1号車。特徴的な展望構造のスイートから、リビングと寝室が分かれたメゾネットタイプまでしっかりと再現されている。
- 車両はこのようにバラバラにすることが可能。車両によって分解方法は異なる。
- 2階建て構造のカシオペアスイート メゾネットタイプ。ベッドやソファ、階段などが再現されている。
- 上から見た画像。トイレまで再現されているのが驚きだ。
■TOMIXのファーストカーミュージアムと並べてみる
「Nゲージスケールの車両で先頭車のみの発売」という形態が同じである、ファーストカーミュージアムの車両と並べて写真を撮ってみた。
- 一時期見られた、埼京線の205系と山手線E235系の並び。このように並べてみても鉄道模型と遜色ないことが分かる。
- かつての上野発札幌行の豪華寝台特急の並び
- 国鉄型鋼製車両のコンビ
■おわりに
このように「スタートレイン」は、手軽に近場で買える安価さ・手軽さと、模型としての精密さを兼ね備えるという他にはない魅力を持った鉄道玩具だったのだ。この記事を読んで、「スタートレイン」を振り返ってもらえると嬉しく思う。