text & photo:RM
取材日:’21.5.31 場所:芳賀・宇都宮LRT車両基地
取材協力:宇都宮市・芳賀町
栃木県宇都宮市および芳賀町にて建設中の「芳賀・宇都宮LRT」専用車両が本日報道陣にお披露目となった。
芳賀・宇都宮LRTとは、栃木県宇都宮市と芳賀町が推進している新時代の路面電車。我が国で初めて、完全新規に路面電車タイプのLRT(Light Rail Transit)路線を敷設するものである。国内の既存路面電車で超低床のLRV(Light Rail Vehicle)を見ることはもはや珍しくはなくなったが、宇都宮市のように過去においても路面電車が存在しなかった都市にまったく新たに路線が開業するのは非常に画期的なこと。古い車両やシステムとの混在を考慮する必要が無く、現時点で理想的な交通システムを目指そうとしている。路線はJR宇都宮駅東口から東方へ延び、芳賀町の工業団地内の本田技研北門までの14.6kmを優先整備区間として建設中で、開業は2023年3月を予定している。
▲車両お披露目式に列席した自治体関係者の方たちによるフォトセッション。
▲シートは固定式クロスシートが中心で、優先席(写真左手)はロングシートとなる。
▲強い傾斜を持つ流線形の前頭部。ヘッドライトはLED方式。
ここで活躍する車両の第1号として本日お披露目されたのは、黄色とダークグレーで大胆に塗り分けられた3車体連接・流線形の電車だ。愛称「ライトライン」と名付けられたこの車両、3車体での全長は29.5m、車両幅は2,650mm。特筆すべきは国内の超低床車両で最多となる定員約160人(座席50席)を誇ることで、これこそバスでは得られない中量輸送機関としてのメリットが発揮されるところだろう。車いすスペースを1編成に2ヶ所、優先席は各車に1ヶ所(計3ヶ所)、フリースペースを編成中に1ヶ所備え、また客扉は片側側面につき4ヶ所となる。なお、軌間は1,067mm、架線電圧は直流750V。製造は新潟トランシスが担当した。
- 3車体で各車に2軸台車を備える。
- 先頭部は強い傾斜と絞り込みを持ち、スマートな印象。
- 両先頭車の運転室背後は車いすスペースとなっている。
- 中間車に設置されたフリースペース。
- 茶色い背もたれの席は優先席で、座面も低くなっている。
- 先頭車最前部の客扉付近から編成全体を見通したところ。通路には段差がない。
- 座席幅は450mmで、1席ごとにセパレートとなっている。
- クロスシートの背中合わせとなる部分は荷物置き場とされて一定の距離がある。
- スピードメーターは80km/hまで切られている。設計上の最高速度は70km/h。
- 運転台からの視界は非常に広く、また車内外各所のカメラからの映像を映すモニターも設置されている。
- 除幕式の模様。
- 政争の一因にもなり難産であった芳賀・宇都宮LRT。ついに形として見え始めた。
- 車号は、編成手前からHU301-B+HU301-C+HU301-A。
ちなみに「ライトライン」という愛称は、ライト(Light)と宇都宮市の別称「雷都」を掛けたもので、黄色いボディカラーも雷の色からのイメージとなっている。