製作:瀧口宜慎
photo:浅水浩二
国鉄末期、全国のローカル線の老朽化した無人駅の駅舎が問題となる一方、貨物列車は列車の削減と車掌車の連結を廃止し、大幅な省力化をしたのでした。
この転換で生じた大量の余剰貨車を利用したのが全国で50ヶ所を超える貨車を活用した駅舎、通称「ダルマ駅舎」なのですが、その全体の7割が道内で見られたといいます。そんな北海道のローカル線を象徴する風景のひとつであるダルマ駅舎を今回は1:80スケールで再現してみました!
■模型の製作
当初は16番の車掌車を使っての製作を考えましたが、製品が手に入りづらくプラ製キットになるとホビーモデル製のワフ22000とエンドウ製のワフ29500がリリースされています。このうち北海道で貨車駅舎として活用されていたのがワフ29500だったので、これをベースとしました。
■改造箇所
実物を観察すると、ワフ改造の場合は貨物室扉を撤去し、アルミ製引き違い戸をホーム側と外側の両方に設けて出入り口としています。また貨物室も小窓を追加して待合室としてることが多いようです。
本州の貨車改造駅舎にはデッキの片側を塞いで用務室とした事例があったので、北海道には存在しないものの“いかにもな貨車改造駅舎”とするため、片側をプラ板で塞いでいます。
加工はまず、ベースのワフ29500の側面をフラットにするべく、貨物扉上下のレールを削ります。しかし、モデルでは扉の上下レールの内側に溝がモールドされているため、t1.0プラ板から1.0角に切り出した部材を詰めて瞬間接着剤で固め、ヤスリで削り落として仕上げています。
出入り口のアルミ戸パーツはプラ板から自作しました。貨物室に追加した窓は、車掌室窓から採寸をして、カッターナイフでケガキ線をなぞるように切り込み貫通させました。ヤスリで切断面を整えた後、窓枠を表現するためのt0.5プラ板を接着。その後この板に穴を開け、窓枠のふちを残しながらヤスリで削り窓を再現しました。
■塗装について
貨車駅舎の塗色は、近年では駅近辺の学生によるイラストなどが描かれることが多いですが、今回はオーソドックスなカラーリングとしました。ベースは全体をクリーム色(クリーム1号に白色を1:1で調合したもの)で塗り、駅舎の腰部は北海道らしくラベンダーをイメージする紫の帯色を作りだし塗りました。
その他、ウェザリングとしてタミヤのスミ入れ塗料のブラウンとブラックを1:1で混ぜたものでウォッシングし、くたびれた感じを出しました。駅名標はパソコンで作り、プリンターで紙に出力し切り出して貼り付けました。
また、ポポプロ製のコード付きチップLED(電球色)を使って簡単に室内灯としています。
■ベースのジオラマ
ジオラマはP4サイズ(333×220mm)の絵画用パネルに、線路はKATOのHOユニトラックを使用。ホームはスチレンボードの積層と、その上面にミューズのイラストボードを貼り重ね、線路側にはプラ板で土留めを表現。
無人駅で多く見られる、駅ホームと敷地外の境界に柵のない姿として、草をパウダーで表現し、市販の杉の木の枝をやや刈り込んで、茶系のパウダーと同じく茶系の塗料で塗り、ヒマラヤ杉風としています。