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特集・コラム

まるで本物!?超リアルなNゲージジオラマにクローズアップ

2021.04.09

 鉄道模型を始めた誰しもが憧れるであろう「リアルなジオラマ」。旅先で感動した景色、いつも乗る電車の窓から見える日常の街並み、幼い日の想い出の情景など、ジオラマにはその風景を手元に置けるというロマンがあります。今回はそんな細部まで作り込まれた珠玉のジオラマたちをご紹介しましょう。

■厳密に再現されたコダワリの只見線 第四只見川橋梁

 この只見の地で生まれた作者。50歳の時に只見へ再訪して以来、自身が生まれた場所に対する思いが強くなり、毎年訪れるようになりました。そんな時にこのトラス橋のキットをたまたま手に入れることができ、そこから徹底的にこの只見線「第四只見川橋梁」を製作することになりました。
 トラス橋も徹底的に手を入れ、ハシゴ類の追加に留まらず、枕木の番号表記まで忠実に再現。橋脚は3Dプリントによるもので、危険水位の表記や一角が欠けている土台まで再現して製作されています。
 また切り立った岩肌や、秋の装いに色づいた紅葉の表現、流れの緩い只見川の水面表現まで丁寧に作り込まれています。ここまで徹底して作り込まれているからか、ジオラマなはずなのになぜか実景のような空気感まで感じられそうな完成度です。

■記憶をジオラマに保存!思い出の京成押上線

 下町の風景が色濃く残る京成押上線。京成立石駅周辺の高架化事業も最終段階に入り、数年後にはほぼ全線が高架になる予定です。そんな変わりゆく押上線の風景を再現したのがこのジオラマ群。地上時代を詳細に再現した京成曳舟駅と、架け替えられる前の荒川橋梁をご覧いただきましょう。
 京成曳舟駅は1990~2000年頃の、高架化工事に伴う沿線建築物の取り壊しが始まる前の風景をモデルにしています。実はこれが作者初の本格的なモジュール製作でした。


 荒川橋梁は京成曳舟駅の製作の際、住宅を大量にフルスクラッチして時間がかかったことから、対照的に情景を短時間で作りたいと考えていました。水上なら工作物が少ないことと、たまたま当時の荒川橋梁付近が舞台になっているTVドラマを見つけ、資料の確保ができる目途が立ったことからこの風景としました。

■4000トン収容!全10線の巨大コンテナヤード

 ここに紹介するコンテナヤードは全10線、列車有効長はM250系「スーパーレールカーゴ」の16両編成が入線可能。12フィートコンテナを荷重5tと換算した場合、コンテナ車1両で25t、16両編成で400t…これが10満線状態で停車すれば、単純計算で4000tの貨物が扱えるコンテナヤードということになります。


 そしてこのコンテナヤード一番の見どころは何といってもヤード灯や架線柱に付く照明群が照らし出す夜景です。夜の方が昼間以上に活躍する貨物輸送情景ならではのギミック、一列に整然と並ぶ灯りの様子はとても美しい姿をしています。

■「机上」の路面軌道 ローテーブルに再現した熊本電鉄風ミニレイアウト

 道路と同一面上に併設される路面軌道は、小さな路面電車が走る印象が強いのですが、稀に一般の大型車両が走る路線も存在します。九州の熊本平野を走る熊本電鉄もその一つで、ここでは東京都心の地下鉄で活躍していた車両が一転、路面上を走るという珍しい姿を見ることができます。このジオラマでは、熊本電鉄の魅力を市販のローテーブル上に凝縮。特徴的な路面軌道も含めて再現しています。

 

 この記事は2021年4月5日発売の「スーパーリアル鉄道情景Vol.5」の記事から作品を抜粋しております。
 作者のこだわりや想いが詰まった精密かつリアルな珠玉のジオラマ作品たちを数多く収録。また、作品展に出展されたユニークな作品なども多数掲載!鉄道模型のジオラマに憧れた人は必見の一冊となっています。

 

 

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