製作:日本大学豊山中学校・高等学校鉄道部

毎年夏に行われる鉄道模型の祭典「JAM国際鉄道模型コンベンション」。その中でも華を添えるのが、一般モデラー参加作品である「モデラーズ・パフォーマンス(MP)」です。
ここではそんなMP出展作品の中から、日本大学豊山中学校・高等学校鉄道部による情景作例を取り上げ、同校が例年のテーマに据える中央本線各所の景勝地・名所の風景をモチーフに、ダイナミックかつ緻密に作り上げられた「沿線の様子」を見ていきましょう。
■こだわりの中央本線

日本大学豊山中学校・高等学校鉄道部は、JAMコンベンションにおいて毎年、中央本線をテーマに大型のモジュールレイアウトを出品してきた。例えば2015年は四方津鉄橋、2016年は御茶ノ水付近、2017年には新桂川橋梁…年々より緻密に、大掛かりな造形に挑戦し続けている。
今や長距離旅客は新幹線が担う時代。在来線の多くは運行区間が細分化されているほか、定期の旅客列車は普通及び快速しかない路線が一般的であるが、並行する新幹線のない中央本線は中~長距離の在来線特急が頻繁に走り、都心と近郊、そして山間部と沿線の雰囲気も多彩。乗客の様子にもエリアごとの変化が顕著に表れる、他ではあまり見られない特徴を有した路線と言えるだろう。そんなロマンを日大豊山の生徒たちも感じ取り、同路線をテーマにし続けているのかもしれない。
- 鳥沢~猿橋間に架かる新桂川橋梁。中央本線でも一、二を争う景勝地で、実物の橋の長さは513m、川床からの高さは45mという巨大さ。模型には同校生徒の手作りで、ワーレントラス部分の緻密さは見る者を圧倒する。
- 橋の取付部を見る。こちら側は中央東線での塩尻寄りとなる。
- 同じ橋の取付部を俯瞰で見る。奥のトンネルポータルは猿橋トンネルの入口。新桂川橋梁と共に複線化時に新たに作られてトンネルだ。
- 新桂川橋梁の模型のベースサイズは3,600mm×400mm、高さは400mm。下から見上げると、その威容のほどがうかがえる。
- 新桂川橋梁の足元にある民家や作業場もすべて自作ストラクチャーであることに驚く。
- ストラクチャーは素材に紙やプラ板を適材適所で選び製作している。
■中央本線の「クライマックス」御茶ノ水周辺を緻密に再現!

中央本線における都心側のクライマックスといえば御茶ノ水近辺だろう。本郷台地と言われる丘陵地帯を中央本線は切り裂くように通り抜ける。神田駅から下り列車に乗ると、高架→谷間→高架と目まぐるしく線路と地面の位置関係が変わる。今ほど市街地化する前は緑豊かな渓谷だっただろうこの区間は、現在でもビルの谷間の喧騒に包まれた空間とは違った趣を持ちつつも、駅の東側には鉄道の要衝のごとく上下へと立体的に線路が交差する場所でもある。中央本線の風景全体を通しても外せないシーンであろう。
- 御茶ノ水駅を新宿寄りから眺める。線路の上を超えるお茶の水橋は鋼製ラーメン構造という工法で作られており、橋脚の足元は7ヶ所のピンで留められている特殊なスタイル。この辺りも抜かりなく再現している。
- 神田川に沿う谷の斜面を複々線が窮屈そうに通っている。水を湛えた神田川は透明レジンを流し込んだもの。
- 万世橋付近高架橋を実物で言う南側から覗くと、旧交通博物館のシンボルだった0系新幹線とD51蒸気機関車のカットボディがさりげなく置かれている。
- 神田~御茶ノ水間の万世橋付近を俯瞰で見る。高架線が緩やかにカーブしている所や、旧万世橋駅跡の赤レンガ高架上の草生した側線など、よく実物を観察し捉えている。
- 神田~御茶ノ水間の旧交通博物館脇、万世橋付近を行く。旧万世橋駅の煉瓦アーチの高架線は今では商業施設となっている。
- 飯田橋~市ヶ谷間の外堀端を走る区間。ある意味東京らしい威風堂々とした情景だ。緩行線の車両が停車しているのはかつて運転されていた飯田橋折り返し用の引上線で現在では撤去され、同駅の新ホームが建っている。















