製作:岡田忠明
photo:浅水浩二

「ユニット・ジオラマ」、それは岡田忠明さんが考案したジオラマ形態の名前です。これは本来固定式であるジオラマの街並みを、区画ごとにユニット分けして並び順を変えることで、その日の気分や好みに応じて街並みを柔軟に変えることができるというものです。
今回ご紹介するのはこのユニット・ジオラマシリーズの一区画として英国風庭園を再現したものです。
■普段はケースに、運転時にはレイアウトに!

こちらのジオラマは「ユニット・ジオラマ」シリーズのひとつなので、他のユニットと組み合わせることでレイアウトの一部とすることができます。さらに、タミヤのアクリル製ディスプレイケースF(350×160×140mm)に収まる寸法とし、このケースに入れて保管するという、省スペースで広がりも持てるユニット・ジオラマの利点を最大限に活かした作品となっています。
■省スペースに魅力と物語を凝縮

収まりの良い大きさの作品ですが、中をのぞくと様々なところが作り込まれているのがわかります。イメージは「イングリッシュガーデン(英国庭園)」で、全体のレイアウトは本館(ガレージ)・テラスレストラン・温室(ボイラー)・チケット売り場(職員詰所)・迷路・教会・藤棚・東屋・鉢物販売テント等、かなり盛りだくさんの内容となっていながらも、程よい細密感で見る者を楽しませます。
細部の見どころは記事後半のギャラリーで画像と合わせてご紹介いたします。
■製品を上手く活用した建物群

この庭園ジオラマの建物の多くは、トミーテックのジオコレ製品などがベースとなっていますが、この庭園の雰囲気に合うように各所に手を入れられて配置しています。例えばこの温室はジオコレのビニールハウスの中から一番大きなものを活用しており、レンガの枠でかさ上げを行いそれらしい形にしてあります。これは取り外しも可能で、内部にいる見学者や変わった熱帯植物であふれているのを見えるようにしてあります。
■最後に

鉄道模型のレイアウトやジオラマというとビルや街、駅などの鉄道中心の風景になりがちです。今回の「英国庭園」は、そんな鉄道ジオラマの中では珍しい部類になると思いますが、たまにはこのような牧歌的な情景もいかがでしょうか?
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- ジオラマの全景。こちら側は正面入り口という設定。
- 外側には敷地いっぱいいっぱいに登山鉄道が走っている。この凝縮感がなんとも堪らない。
- まずは本館玄関。左の赤いスポーツカー・フェアレディZが上品な雰囲気を醸し出す。
- ビニールハウスから堂々昇格した煉瓦土台の洋風温室。
- 室内には咲き乱れる南国の花々とフルーツ、そしてそれを見学する人々まで再現。
- 遅咲きの桜。緑が多い中ピンク色のいいアクセントになっている。
- 教会の正面。よく見ると建物に蔦が絡まる様も再現されている。
- テラスレストランのパラソル。畳んだ状態のはビニールを真鍮棒に巻き付けて製作したという。
- 本館ガレージ裏と温室に挟まれたボイラー。高原は昼と夜の温度差が激しいのでボイラーは必須。このようなディテールにも抜かりがない。
- カメラマンも見とれるほどの藤棚。藤はリトル・ネイチャー製で、ちゃんと根本から映えている様子も再現している。
- 森の奥に隠れた恋人たちが座る秘密のベンチ。覗き込む楽しみがあるワンポイントになっている。
- こちらは鉢物販売テント。ジオコレの「テント」を英国風にアレンジしたもの。
- チケット売り場裏口。水運びに忙しそうな職員がいる場所。石積はこばる製のプラノイタの石目一つひとつに着彩を施したもの。
- 外塀に咲き乱れる赤やピンクの薔薇。教会の蔦やこのような塀の薔薇はリトル・ネイチャー製を多用し着彩している。
- 上からの全景。大小様々な建物が程よい細密感で収まっているのが見て取れる。



















