185系

特集・コラム

第2回「新特急登場前の上野口」

2021.02.26

 1981年、伊豆方面への185系導入に続き、老朽化した高崎・上越線系統の165系置き換えのため、185系200番代が新製され、新前橋電車区に配置された。導入当初は165系と共に、暫定的に急行・普通列車運用に充当されたが、1982年の東北新幹線開業に伴い「新幹線リレー号」として運転され、高崎・上越線系統の急行列車も特急に格上げされるなど、上野口の185系も華々しい活躍を見せた。今回は1985年ダイヤ改正以前上野口で185系が活躍した列車たちを振り返っていく。

◎1982年11月ダイヤ改正前の「急行群」と普通列車

 前述の通り、185系200番代導入当初の1981年~1982年は東海道本線東京口と同様、従来車である165系を順次置き換える形で増備され、1982年の東北新幹線開業に伴うダイヤ改正まで、暫定的に165系と共に急行・普通列車の運用に充当されていた。なお、東海道本線の急行「伊豆」には専用のヘッドマークが用意されたが、こちらは「急行」の字幕のみとなっていた。

▲急行「草津」として吾妻線を行く185系200番代。

’82.10 吾妻線 祖母島~小野上 P:松尾よしたか

■急行「あかぎ」

185系での運転期間:1982年
運転区間:上野~前橋

 高崎線・両毛線の急行列車として運転されていた。両毛線の優等列車がルーツとなっていることから、両毛線の前橋以東に、快速列車として直通する列車も存在していた。また、新前橋まで他列車と併結して運転される場合もあり、高崎線内では185系と165系が併結する姿も見られた。なお、列車名は上州の名峰「赤城山」にちなんでいる。

■急行「ゆけむり」

185系での運転期間:1982年
運転区間:上野~水上・越後湯沢・石打

 急行「ゆけむり」はL特急「谷川」格上げ前の急行列車。上越線には、沿線に多く立地する温泉やスキー場などのリゾート地へのアクセス列車が多く運行されていた。本列車もその一つであり、列車名も沿線の水上温泉などを連想させるものとなっている。定期運転は上野~水上であったが、繁忙期には越後湯沢や石打など、新潟県内まで延長運転が実施された。

■急行「草津」

185系での運転期間:1982年
運転区間:上野~万座・鹿沢口

 急行「草津」は吾妻線の急行列車。上越線同様、吾妻線沿線にも草津温泉などの観光地が多く、そこへの列車として1960年代から優等列車が運転されていた。本列車もその流れを汲んでいる。1971年には長野原(現:長野原草津口)~大前間が開通し、運転区間が万座・鹿沢口まで延長された。

■急行「軽井沢」

’82.4 信越本線 横川~軽井沢 P:松尾よしたか

185系での運転期間:1982年
運転区間:上野~中軽井沢

 急行「軽井沢」は春から秋にかけての行楽シーズンに不定期で運転された急行列車で、避暑地として名高い軽井沢へのアクセス列車として運転されていた。185系200番代は横川~軽井沢間の「碓氷峠」の通過に対応しており、当区間を通過する際は補機であるEF63を連結して、最大勾配66.7‰という難所を越えていた。

■普通列車

’97.4.16 信越本線 軽井沢~横川 P:細矢和彦

185系での運転期間:1982~1997年
運転区間:高崎線・信越本線・吾妻線・両毛線など各線

 1982年の導入当初から普通列車にも185系は充当されていた。東海道本線東京口に対して複数列車の運用を受け持っていたため、送り込み回送や入区を兼ねた運用も数多く設定された。その中でも特筆すべきは、早朝・夜間に設定された碓氷峠を越える高崎~中軽井沢間の運用である。車両の不足から交番検査間合いの185系を使用しており、1997年の横川~軽井沢間の廃止まで運転された。なお、東海道本線東京口ではグリーン車乗車時に普通車グリーン券を購入する必要があったが、上野口の普通列車ではグリーン車は普通車として開放されており、追加料金を払うことなく乗車出来た。

◎1982年ダイヤ改正以降の185系

■「新幹線リレー号」

▲185系200番代14両で運転された「新幹線リレー号」。

’82.11.14 東北本線 鶯谷 P:松尾よしたか

185系での運転期間:1982~1985年
運転区間:上野~大宮

 1982年6月の東北新幹線盛岡~大宮間の暫定開業に合わせて運行を開始した列車。計画当初は在来線特急の廃止によって捻出される485系や583系を充当すべきとの意見もあったが、185系200番代が新製の上で充当された。また、車体カラーも0番代の斜めストライプから、東北新幹線を走る200系に合わせたアイボリーにグリーンの帯が一本入った塗装となった。列車は快速扱いでありながら上野~大宮間をノンストップ26分で走り、東北新幹線へのアクセス性向上に一役買った。
 なお、1982年11月改正以降の新前橋電車区の185系は、本列車と後述の高崎・上越線系統の特急運用を受け持っていたため、尾久で編成を差し替える循環運用となっていた。

■L特急「谷川」

’85.11.21 上越線 越後湯沢~越後中里 P:松尾よしたか

185系での運転期間:1982~1985年
運転区間:上野~水上・越後湯沢・石打

 1982年11月改正で、急行「ゆけむり」の一部を格上げした列車。列車名は、上越線沿線にそびえる谷川岳にちなんだもの。運転区間は急行時代からほとんど変更はないものの、特急格上げと同時に車両は新前橋電車区の185系200番代となり、新前橋までは185系を使用した他列車との併結も見られ、上野~新前橋間では14両という長大編成も見られた。なお、ヘッドマークイラストは後の「新特急」で使用されたものと若干デザインが異なっている。

■L特急「白根」

’85.2.27 吾妻線 岩島~川原湯 P:細矢和彦

185系での運転期間:1982~1985年
運転区間:上野~万座・鹿沢口

 沿線の観光地へのアクセス列車として、1971年に臨時特急として運転を開始。1982年11月のダイヤ改正で、急行「草津」の一部を吸収し、「L特急」として運転を開始した。また、車両が特急「谷川」同様に新前橋電車区の185系200番代となり、新前橋まで185系を使用した他列車と併結して運転されることもあった。なお、列車名は火口湖で有名な草津白根山にちなんでおり、ヘッドマークにもその様子が描かれている。

■特急「あかぎ」

’82.11 東北本線 上野 P:寺尾武士

185系での運転期間:1982~1985年
運転区間:上野~前橋

 前述の急行「あかぎ」を特急に格上げした列車で1982年11月ダイヤ改正より運転開始した。運転区間は、基本的には急行時代を引き継いでおり、ほかの特急列車同様に185系が充当され、新前橋まで特急「谷川」「白根」との併結も見られた。なお、ヘッドマークイラストのデザインは後の「新特急」のものと異なるものが使用されていた。

■臨時特急「新雪」

’83.3 上越線 石打 P:寺尾武士

185系での運転期間:1983・1985年
運転区間:上野~石打

 スキーシーズンの1月~3月にかけて上越線沿線のスキー客輸送として運転された臨時特急。1969年より運転されており、運行開始当初は157系が充当されていたが、その後181系・183系・485系・489系などが使用されており、185系は1983年・1985年に運行された際に充当された。また、本列車専用のイラストヘッドマークも用意されていた。

■臨時特急「そよかぜ」

 ’83.3 東北本線 上野 P:寺尾武士
(愛称幕変換中のシーン)

185系での運転期間:1983年~臨時列車に充当
運転区間:上野~中軽井沢

 信越本線を走る特急「あさま」の長野方面などへの遠方利用客と、軽井沢など近距離利用客を分離するために、1968年の夏シーズンから運転開始した臨時特急列車。当初は臨時列車としての設定であったが、運行頻度が高いことから、1969年10月の改正では「季節列車」に昇格した。185系は新前橋電車区の200番代が臨時増発に充当された。なお、「新雪」と同様に専用のヘッドマークが用意されていた。

🔶第1回 東海道本線を走った185系
🔶第3回 第3回「『新特急』誕生以後の上野口」

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