製作:瀧口宜慎
▲線路1本が敷かれた小さな貨物の荷役ホーム。ここでは、1:80スケールの小さなモジュールを紹介しよう。
今や、1:150スケールのNゲージの情景工作は、建物をはじめ、柵や電柱、交通標識などあらゆるグッズが揃い、手軽に作れるようになりました。
一方1:80スケールの16番の世界はどうでしょうか?もちろん歴史的にはNゲージよりずっと古い、16番の世界ですからストラクチャーや小物も豊富ではあります。しかし、歴史が古い分、「手を動かし、知恵とひらめき」がモノをいう、クラフツマンシップな世界。Nゲージのようにポン、ポン建物を置けば、町が再現できてしまう情景とは、ひと味も、ふた味も違う個性豊かな情景が再現できるのです。
ここではホームセンターで揃えた材料で作る1:80スケールの小さな貨物駅を製作していきます。
▲線路とバラスト材料以外は、全てホームセンターで揃うもので再現。ベースは550×145㎜に切り出したシナベニアに18mmの角材で枠をつけ補強したもの。
■シナベニアと角材でベースを作る
ホームセンターで3㎜厚のシナべニアを購入。ホームセンターの工作室で注文すれば、その場で550×145㎜に切り出してくれます。18mmの角材も同様に購入して必要サイズをカットしてもらいます。
ベースが出来たら、線路、ホーム、踏切といったストラクチャーへの計画を見取り図として書き込んでおきます。
▲プラットホームは黒色のスチレンボードを重ねて貼って再現。
■スチレンボードでホームを再現
100円ショップで購入した黒色の5㎜厚のスチレンボードを2枚接着し、ベースの見取り図に現物合わせで切り出していきます。
▲1㎜厚の灰色のイラストレーションボードを使って、アスファルトの道路や、コンクリート面を再現します。
■イラストレーションボードで地面を表現
道路のアスファルトや、コンククリートの面は、ザラっとした表面の質感、そもそも面積も広いこともあって、色味や雰囲気は千差万別、表現に悩んでしまいます。そこで簡単に灰色のイラストレーションボードを使って再現します。
▲両面テープをイラストボードに貼り付け、イラストホームに貼り付ける。
▲古いホームに見られる木製の土留めは天然木目シートから切り出します。
■木製板部を天然木目シートで再現
ローカル線の貨物ホームでみられた木製の土留めのプラットホームの土留め板は、天然木目シートを切り出して再現します。木目シートは「MATEC」社(http://www.matec-sozai.com/)の銘木シールシリーズ(チーク)300×150㎜(450円+税)を使用しています。これを幅2㎜の帯状に切り出します。
ちなみにこの木目シートは片面が粘着シートが貼ってあるので、そのまま工作物に貼ることが出来ます。
▲木目シートの片面には粘着剤が付いているので、そのままホームの材料に貼れる。
▲ホーム土留の縦梁(縦杭)は1.5㎜の細角材を使用する。
ホーム土留の縦梁(縦杭)は1.5㎜の細角材を使用。これはホームセンターならクラフト・画材コーナー。店舗なら模型店か画材店で手に入るはずです。
材料の接着は木工用ボンドか、両面テープ(強力タイプ)などで貼り付けます。
▲石積のホームは黒色紙粘土に太目のパイプ材(φ5㎜の透明エアチューブなど)を使って適度に石の模様をつけて行く。
黒色紙粘土は100円ショップ(ダイソー)でも購入できる軽量紙粘土(黒色)を使用します。
軽量紙粘土はこねやすく、乾燥の速いのですが、乾燥後の収縮も大きいのであまり広い面積や、厚い層として使うと収縮からのひび割れや、変形の原因にもなるので、使う場所に注意が必要です。
▲木製土留めのホームと石積みのホームが完成した状態。石積みのホーム。ちなみに石積みホームは作業員が貨車の床下に潜り込む作業などするため、ホームと線の間をスケールで1m程あけている。
▲さらに踏切部分はイラストボードを切り出して再現。この後、テクスチャーに変化をつけて仕上げていく。
▲完成した様子。架線柱は竹ヒゴとプラ材を使用。踏切の看板もプラ板からの自作をしている。
▲石積みのホーム部分はタンク車からの石油の抜き取りの施設を再現。万年壁の「火気厳禁」「屋外タンク貯蔵所」の看板が雰囲気を盛り上げる。
▲踏切看板はプラ板からの自作によるもの。黄色い花の草は「ミニネイチャー」シリーズを使用。
▲荷役ホームの表面は木工用ボンドを薄く塗ったと、草のパウダーを適度に振り掛けて乾燥。仕上がり直前で茶色やグレーのバステルの粉を部分的に撒いている。踏切の板部分は土留めと同じ木目シートを使用している。
▲車止め部分はプラ板に木目シートを貼って再現している。
▲タンク車の石油抜き取りは、作業員がホームと車両の間に入って、作業するためホームと車両を離している。
▲完成して、フロアレイアウトにジオラマを組み込んだ様子。