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特集・コラム

25年前に姿を消した 思い出の飯田線豊川駅旧駅舎

2020.12.31

text & photo:水野宏史

 愛知県の豊橋と長野県の辰野を結ぶ全長195.7kmのJR飯田線。その中でも豊橋~豊川間は、1987(明治30)年に当時の豊川鉄道によって開業された、飯田線では最初に開通した区間です。東海道本線との乗り継ぎ駅である豊橋から日本三大稲荷のひとつと呼ばれる豊川稲荷への参詣客を輸送することで賑わいました。

▲豊川鉄道から引き継がれた国鉄時代の豊川駅舎。鉄筋コンクリート3階建ての堂々たる駅舎だが、3階が閉鎖され少々寂しい雰囲気も感じられた。

’83.9.5

 その豊川に1931(昭和6)年12月、多角経営を目指す当時の豊川鉄道の手で鉄筋三階建ての駅舎が新築されました。1階が駅舎、2階には豊川鉄道直営の全国特産物展示即売会場、3階が劇場となる当時としては意欲的な造りの駅ビルで、カーブを描く壁面など昭和初期らしいモダンさを感じさせる建物でした。
 飯田線の国有化により店舗や劇場の営業は終了したものの、豊川稲荷参詣の玄関口として多くの人たちに親しまれてきました。

 建設より60年以上にわたって使用された旧豊川駅舎も、建物本体の老朽化のほか、駅による市街の東西分断を解消させる目的から、1995(平成7)年6月10・11日のお別れイベントを最後に解体され、1997(平成9)年春に東西自由通路を持つ現在の橋上駅舎に生まれ変わりました。

新しい豊川駅舎。写真は新駅舎建設により初めて出口が開設された豊川駅東口側。

’95.4.2

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