185系

特集・コラム

EF65 1000番代を弄り尽くす! 圧巻!ナイン・バリエーション

2020.12.30

製作:熊岡正之
photo:青柳 明

 国鉄直流電気機関車の決定版と言っても過言ではないEF65。その中でも今なお現役の車両が多く活躍する1000番代は、登場から50年以上が経った現在でも様々な形態差、カラーバリエーションの豊富さなどから人気の車両だ。今回はKATOの16番スケールのEF65 1000番代をベースに9種類のバリエーションを加工した作例を紹介しようと思う。

■1111号機

 国鉄時代の東京機関区ブルトレ牽引仕様を目標に仕上げたが、基本的には手スリや解放テコの金属化、屋上のクレーンフックの新設、エアホース、パンタグラフの交換とその他各種表記類の追加など、一部を除く他の機関車と共通の加工内で済ませている。車番のみくろま屋の機関車車番インレタ(マットシルバー)を使用してエッチングナンバーらしさを再現している。ナンバーは最後まで悩んだポイントだが、学生時代に乗車した「瀬戸」の牽引機の番号としている。ガイシには塩害対策でグリースが塗られた状態を表現するために埼京線のグリーンを吹き付けてアクセントとしている。

■1034号機

 基本的に先ほどの車両と同様に共通加工内での範囲で仕上げている。この1034号機は、上越線岩本駅で停車中にじっくり観察した初めてのPF型で、特にスカート廻りを賑わす元ダメ管と釣り合い管にもホースが付き、かつそれらが交わるようにぶら下がっていた状態を再現している。PFは重連仕様で登場しながら、重連で活躍した列車は東北本線のコキ10000系などの牽引に限られ、その期間も短かったために、特に内側にある釣り合い管は早い時点でホースが撤去されていた。ナンバーは実車が切り抜き文字なので、立体感のあるTOMIX製の金属インレタを使用している。

■2119号機

 2012年春以降のJR貨物のPF再現に不可欠な2000番代。国鉄色とした理由は稲沢で2119号機を見た時に前面青プレートがカッコよく見えたという理由から。列車無線アンテナは台座とアンテナが別パーツとなった1059号機用の分売パーツを使用することで、塗り分けの手間を省くことができた。窓押さえのHゴムはツヤあり黒(プラ用)をカラス口で入れてある。GPSアンテナはこの車両のみさいどらいんのロスト製を使用。ナンバーは1111号機同様、くろま屋の機関車車番インレタ(マットシルバー)だ。また、最近のJR貨物のPFは、元ダメ管と釣り合い管のコックが撤去されたものを多く見かけるようになり、それらを表現するためにエバーグリーンのプラ丸棒とプラ帯材で管に蓋をした状態を再現している。

■1059号機

 KATOの製品を活用したこのモデル。特徴的な車体側面の巨大JRマークは美しく印刷されているが、さすがにルーバー部の凸凹には「かすれ」が見られたので、その部分はプラ用の白色で丁寧に色差しを行った上でウェザリングを施している。ちなみにKATO製PF後期型は、近年の製品では嵩上げされたランボード下部がシースルーとなり見た目の雰囲気がかなり良くなっているのがポイントだ。

■1019号機

 今回紹介するPFの中では、一番手間のかかった車両の1019号機。これに仕上げるためにまずは車体をIPA(イソプロピルアルコール)溶液に半日から1日ほど浸して塗装を剥離させる。その後、歯ブラシで浮いた塗膜をこすり落とすが、今回は毛の硬い入れ歯用ブラシを使用したところ、かなり効率よく塗装を落とすことができた。1019号機は初期型とはいえ、前面のステップが幅広タイプでKATO製品とは異なるので、BONA FIDEの専用パーツを使用した。
 さて、特徴的な車体の赤色は、ガイアカラーの名鉄スカーレットが無調色でKATOの1118号機とマッチしたため、迷わずこれを使用した。側面ロゴはサイドラインのインレタを使用。購入からずいぶん歳月が経過した状態での加工だったが、車体に直接転写でもうまく転写することができ、予備インレタも使うことはなかった。
 列車無線アンテナは、やはり2ピース構造の1118号機の分売パーツを使用している。この車両にはウェザリング等を一切行わず、登場時の美しい姿として仕上げた。ナンバーはTOMIXの金属インレタを使用している。

■1118号機

 製品をベースにはしているが、差別化するために晩年の姿、すなわち屋根上のクーラーと採光窓に白文字がない状態にすることにした。
 クーラーはBONA FIDEのパーツで、扇風機カバーを撤去して取り付ける。今回の車両の中では唯一のJR東日本のものとなるので、車体側面と前面、そしてスカートや台車枠など比較的こまめに洗浄を行っているJR東日本の機関車の特徴を出すために、車体はピカピカとし、屋根上と床下でも車輪など奥まったところにあるもののみウェザリングを行っている。

■1009号機

 今から15年以上も前にKATOから前期型が発売され、RM MODELS 92号(2003年4月号)掲載のために短期間で手掛けたもの。あえてヘッドライトにヒサシのない最初期ロットのPS22B付の異端児をJR貨物更新色(3色)で仕上げた盛りだくさんの1両だ。
 幅広の車体前面下部のステップは、当時専用パーツが無く、天賞堂のED76を加工して取り付けている。ドアストッパーは最近になってエコーのロスト製のものを追加。パンタグラフは、まだTOMIX製がなかった(PS22を搭載した機関車が発売されていなかった)ので、フクシマのPS22Bを使用している。ナンバーは帯板の上にTOMIXの金属インレタを使用。製品そのものの塗装を剥がさず、段差を耐水ペーパーで仕上げる程度のことしか行っていないため、塗料はマッハの調合塗料(ラッカー)をそのまま吹き付けている。

■1032号機

 こちらも1009号機同様に、発売直後の雑誌掲載のために加工したものだ。タイプは製品ズバリそのままだが、広島更新色として仕上げている。パンタグラフはKATOオリジナルのもので、下枠のヒンジ部の加工(切断・ハンダ付け)を行ない、見た目の向上を図りました。同じく、最近になってBONA FIDEのドアストッパーを追加している。

■1084号機

 KATOのJR貨物2色更新色がベースとなっているこのモデル。バリエーションを増やすために、こちらは屋上に常磐無線アンテナの準備工事が施工された1084号機とした。無線アンテナの丸い台座そのものは、TOMIX分売パーツあるEF81用常磐無線アンテナセットのもの。配管はΦ0.3の真鍮線とエコーの細密パイプ(外径0.5・内径0.3)と割ピンを使用して作り込んでいる。上から見ることの多い鉄道模型では、とてもよく目立つポイントのひとつだ。全検出場直後の美しい姿の再現を目指したが、屋上の一部などの再塗装されないところのみウェザリングを施している。

 以上、9両のバリエーションを紹介したが、プラ製で比較的リーズナブルに入手できる製品が存在するからこそできる楽しみと言えるだろう。皆さんも是非、最初の1両に取り組んでみてはいかがだろうか。

 以下、ギャラリー画像にて主な加工点を画像と共に紹介したのでそちらも参考にしていただきたい。

 この記事は「国鉄名機の記録 EF65 1000番代」の一部を抜粋しています。細密模型加工記事の他、実車のEF65 1000番代の歴史や形態差、詳細なディテールなどを写真を交えて解説!さらにEF65 1000番代全139両の履歴も掲載!PFファン垂涎の一冊となっています。

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