
登場以来、踊り子を中心に運用されてきた185系特急型電車。その長年に亘る定期運用が2021年3月をもって終了する。今回は2019年にフルリニューアルの上登場し話題になったTOMIXの185系の軽加工作例を紹介しようと思う。

■モデルについて
1981(昭和56)年に登場した185系特急型電車は、老朽化が進んだ田町電車区の153系を置き換える目的で製造された車両である。その模型映えする緑の斜めストライプのカラーリングもあってか、実車登場直後から複数のメーカーから製品化された。その後、大きなリニューアルもなく同等の年数が経過しており、現行水準でのモデルが長い間渇望されていたが、ついに2019(平成31/令和元)年、TOMIXからHG仕様のフルリニューアル版が満を持してリリースされたのは記憶に新しい。
製品は斜めストライプ塗装に強化スカートを装備する現行仕様を再現しており、0番代と200番代を同時発売した。旧製品と比べると車体のモールドや窓の嵌め合い精度が格段に向上し、東京方・下田方先頭車で異なるジャンパー栓廻りも正確に再現。屋根上機器を中心に別パーツ化され、立体的でシャープな造形となった。
■加工点

●屋根上
クーラーや換気装置などは一旦取り外し、パーツの種類ごとに塗装を行っている。模型として見たときの「立体感」と「メリハリ」を強調するため、実車に比べ明るめの色調で塗装を行った。作例では0番代やサロ185のクーラーとパンタグラフ、運転台上の小パーツ類はねずみ色1号、換気装置は灰色9号を使用。パンタグラフはプライマー処理後に塗装を行い、碍子部にツヤ消し白を色差し。クーラーと換気装置のルーバー・メッシュ部分には、タミヤのスミ入れ塗料(ブラック)を使用してモールドの陰影を強調している。
●床下
台車・床下機器共にツヤ消し黒で塗装を行い、質感を整えている。軟質プラ製の台車へは、剥離防止のプライマー塗布後に塗装を行っている。
ジャンパー栓パーツはGMアイボリーAで塗装。ケーブル部分はねずみ色1号とツヤ消し黒で塗り分けている。
●ウェザリング
下廻りのウェザリング準備として、モーターカバーの「影」になる部分をマスキングテープで養生。台車・床下機器はウッドブラウンをエアブラシで吹き付け、鉄粉による汚れを表現。屋根上は薄く溶いたツヤ消し黒とウッドブラウンを全体に吹き付けて質感を整えた。その後、パンタグラフ廻りを同色で強めにウェザリング。この際にパンタからの汚れが飛散する隣接車も強めにウェザリングすることがポイントである。

●方向幕
TOMIX製品の通例で側面方向幕のシール等は付属せず、この部分が素通しでは寂しいので、サードパーティーの方向幕シールを貼ってみた。今回はジオマトリックス様から提供していただいた試作品を使用した。従来のシールが白色ベースであったのに対し、ガラス越しの立体感を表現した風合いが特徴だ。「修善寺」といった細かな文字もしっかりと再現されており、自然な仕上がりとなっている。
以下ギャラリー画像にて各車の解説を行ったのでそちらも是非参考にしていただきたい。
- 東海道線の複々線カーブを駆け抜ける185系「踊り子」。特徴的な斜めストライプは一度消滅したものの近年復活。最後の活躍を彩る。
- 下り(下田・修善寺)方を先頭とした0番代10両のA編成。
- 下り方偶数向き先頭となるクハ185形0番代。先輩格の117系では先頭車の奇数・偶数向きで形式が異なるが、185系では番代区分で区別。
- モハ185形0番代。当時の国鉄特急・急行型では各社に便洗面所を設けるのが常だったが、この形式では省略し、定員数を増やした。
- モハ185形とユニットを組むモハ184形0番代。床下に電動発電機(MG)・空気圧縮機(CP)を装備。
- 修善寺方面への5両C編成にのみ連結されるサハ185形0番代。当系列での最小数形式で、モハ185形同様便洗面所を持たない。床下にはCPを装備。
- グリーン車サロ185形0番代。ゴールドの側面窓枠は0系の側扉枠に通じるものがある。
- 上り方奇数向き先頭車、クハ185形100番代。前面向かって右にジャンパー栓を装備する。
- 上り(東京)方を先頭とした200番代7両編成。東北・上越方面への仕様が考慮された耐寒耐雪構造のグループ。
- クハ185形300番代。当初は窓下緑帯の塗色だったため、車番が中央に来ており、ストライプにした場合帯がかかる位置となる。
- モハ185形200番代。200番代M車の妻面ダクトは0番代とは異なる。この製品ではそれも的確に再現。
- モハ184形200番代。グリーン車を除き屋根上クーラーのキセはステンレスタイプであるのも200番代の特徴。
- サロ185形200番代。3位側車端部に換気窓を持つのが0番代との違いだ。
- クハ185形200番代。寒地向けらしく200番代セットには台車前面排障器の代わりにスノープラウが付属。
- クハ185形のライト点灯状態。左が100番代で右が300番代。連結器上のタイホンカバー形状が異なる。ジャンパー栓パーツはケーブルの有無を選択可能。
- モハ184形の妻面。左が0番代、右が200番代。モーター冷却用ダクトの違いを作り分けている。
- 今回の作例では側面方向幕にジオマトリックス製試作パーツを使用。
- 色味の調整により、ガラス越しの微妙な「透け感」を見事に表現している。
- クーラー形状のバリエーション。左からサロ185形、200番代普通車、0番台普通車。
- クハ185形300番代の実車前面下部。ジャンパー栓は現在KE96×1本のみだが、当初はさらに右側に153・165系併結用のKE64×2本が装備されていた。横長のジャンパー栓納めステーはその名残だ。
- C6編成クハ185-112のジャンパー栓廻り。当車は先ほどのようなジャンパー栓納めステーを持たないタイプ。
この記事は「RM MODELS 2020年1月号(Vol.293)」の一部を抜粋しています。

























