多種多様な車両をラインナップし、長く鉄道模型ファンたちに愛され続けている鉄道コレクション。その車両の特徴といえば、Nゲージ規格でありながら他のNゲージ完成品と異なり動力を持たない「ディスプレイモデル」であるところだろう。だが、メーカー純正の走行用ユニットを使い「Nゲージ化」させることも可能だ。そこで今回はいまさら聞けない専用動力ユニットの取り付け方の他、TNカプラーの装備ができるかどうかも検証していこうと思う。
■まずはやっておきたい鉄コレNゲージ化!
前述のように鉄コレはそのままでは動力を持たないため、Nゲージ鉄道模型の線路に乗せられはしても走行はできない。それをTOMIXなどのNゲージ完成品と同様、レールからの集電で自走できるようにするのがここで言うNゲージ化だ。
他の「ディスプレイモデル」の中には、動力化には加工が必須となるモデルも少なくないが、鉄コレの場合は純正オプションとして動力ユニットや走行用パーツセット(車輪・ウェイト・カプラー等)が用意されているので施工は極めて簡単。基本的に接着の必要もなく、単純な分解とはめ込みによる組み立てだけで動力化が可能だ。同様に電車である場合はパンタグラフもTOMIX製分売パーツが交換用として指定(路面電車用Zパンタなど一部を除く)される。やや線の太い造形の標準プラ製ダミーパンタを交換するだけで印象は大きく向上する。
なにをするにしても、「まずはNゲージ化から」が鉄コレ工作のある意味セオリーとも言える。次項では初歩的な工程ではあるが、基本手順を紹介しようと思う。
■走行用ユニット組み込み&パンタ交換で簡単Nゲージ化!
ここでは一般的な車両のNゲージ化工程をレギュラー版第27弾の名鉄7300系を題材に、以下ギャラリーにまとめられた画像と共におさらいしよう(ディーゼルカーの場合も、パンタグラフが不要なくらいで基本手順に変わりはない)。
車両以外に用意したものは動力ユニットTM-12R(19m級用A)、走行用パーツセットTT-04R(車輪径5.6mm・グレー)、TOMIX製パンタグラフPT-4212-S(走行用パーツは2両分入のうち1個のみ使用、パンタは2個入りの内1個のみ使用)。車種ごとの対応パーツはパッケージや公式HPに掲載されているのであらかじめ確認しておきたい。
- ここでは名鉄7300系を使用して紹介する。
- まずは動力車。車体と床板の間に爪先などを差し込んで車体裾を広げ、床板を車体から抜き取る。
- 台車枠の組込。パーツの切り出し時はプラ用ニッパーで大まかに切り離し、カッター等で切り口を整えると良い。
- 台車枠裏面のボスを動力台車の取付穴に差し込む。接着の必要はない。
- 元の床板から先頭部用のダミーカプラー、床下機器を移植。取付が緩い場合は少量のゴム系接着剤等で固定。
- プラ製パンタを抜き取りTOMIX製パンタを差し込む。こちらも抜けやすい場合はゴム系接着剤を併用。
- こちらは非動力車。まず車体・座席パーツ・床板・前後台車の5ブロックに分割。
- 動力車も同様だが連結側のアーノルトカプラーを走行用パーツセットの同封品に交換(右が交換後)。製品状態のカプラーは復元バネがなくスムーズな連結や走行中の動きへの追従ができないため交換した方が良い。
- 標準のプラ車輪を走行用パーツセットの金属車輪に交換。
- ウェイトを床板と座席パーツの間に挟む。重量が足りないと走行が安定せず脱線の原因になるので忘れずに。
- 全てのパーツを交換し終えたら車体・床板・台車を元通りに組み上げて施工完了!
- 以上でNゲージ化が完了。あとは通常のNゲージと同様に遊ぶことができる。
■リアル化にもうひと手間 TNカプラーは付けられる?
TOMIXのリアルタイプカプラーの「TNカプラー」。鉄コレでは製品にもよるが、床板端部にボスの出ているものならボディマウント式TNカプラーを取り付けできる。ただしスカートや台車との干渉によって、ボスがあってもそのままでは走行に支障するものもあるので注意したい。
以下のギャラリー画像は専用動力ユニット・走行用パーツのラインナップの一部を紹介したので参考になれば幸いだ。
- TM-06R(18m級A)ボギー車用のオーソドックスな動力ユニット。
- TM-24(17m級A2)例外的なこの動力ユニットはクモル145・クル144のフラットな荷台に対応した形状。
- TM-27(地方私鉄連接車用)福井鉄道200形に対応した動力ユニット。
- TM-ED01(電気機関車用B)電気機関車に対応した短台車間距離ながら両台車駆動でパワフルな走りを見せる。
- TM-LRT02(LRT用3連接車A)超低床路面電車の動力は2車体用のTM-LRT01に始まり、3連接車用はTM-LRT02の他、台車間距離違いのTM-LRT03・04もある。
- TM-TR02(2軸電動車用)路面電車動力はTM-TR01~06までラインナップ。
- TM-TR04(大型路面電車用)路面電車用は各種車両形態に応じたものが設定。一部製品は台車間距離が可変式となる。
- 走行用パーツセット 現行品は成型色・車輪径の違いによりTT-03R・04R・05の3種が用意。金属車輪とウェイト、アーノルトカプラー・同スペーサーが2両分含まれる。
この記事は「ジオラマコレクション完全マニュアル Vol.5」に掲載されている内容を一部抜粋しています。鉄道コレクションを中心に加工例から新製品カタログまで、ジオコレシリーズを遊びつくす一冊になっています。