鉄道の鉄橋は様々な種類が存在するが、どれも旅情を演出する上で重要なことは間違いないだろう。そんな橋梁の中でもひと際特異な構造をしている「可動橋」だ。船舶の往来が多い運河などに用いられることの多い橋桁部分が文字通り可動する橋となっている。
ここでは三重県の四日市港に実在し、今なお現役の可動橋として有名な「末広橋梁」をモデルにしたデスクトップで楽しめるNゲージのジオラマ作例をご紹介しよう。
■ディテールのためにあえて「可動式」にはしない!
橋が跳ね上がる可動橋を題材とする以上、実際に模型でも動かしてみたいと考えるのは必然だろう。しかし、その場合だと複雑な機構を組み込む必要があり、それにより外観やディテールが犠牲になることもある。そこで今回は車両展示用のジオラマ及び、両端に線路を接続することで運転も可能なモジュールとして割り切り、非可動(ダミー)として製作した。
■フルスクラッチと製品を組み合わせてリアルに仕上げる!
このジオラマのベースはA3サイズの木製パネル。そして可動橋の本体は雰囲気のよく似ていたKATO製の単線プレートガーダー鉄橋(灰)を2本使用。1本は可動桁用として長さをカットして短縮。もう1本は両端の固定橋桁として半分にカットしたものを両端に配置。両岸の線路は同じくKATO製のユニトラック(S72.5)を2本使用した。
可動橋で一番目立つ存在の可動桁を持ち上げるウインチが備わる門型鉄柱は、エンドウの16番用架線柱プラキットを流用して再現。橋梁などの構造物は、形状さえ似ていればスケールが異なっていても流用できることが多いのが魅力だ。ケーブルはΦ0.5の真鍮線を貼り付けて再現した。
鉄道橋としては現役唯一の跳開式可動橋の末広橋梁。その魅力をA3サイズにギュッと凝縮したファンにはたまらない作例だろう。
この記事は「スーパーリアル鉄道情景 Vol.4」に掲載されている内容を一部抜粋しています。このような貨物情景の他にも、私鉄から新幹線までリアルさにこだわった幅広いジャンルのジオラマ作例を紹介する一冊です。