text&photo:芦原やちよ
取材日:’20.10.31
去る2020年10月31日、「キハ66・67形ミステリートレイン」が門司港から門司港まで戻ってくる周遊ルートで運転された。本列車はその名の通り、ミステリー列車なので参加者には経路が知らされずに門司港駅を出発した。
今回、幸運にもこの列車に乗車することができたため、その様子をレポートしようと思う。

▲採銅所駅に停車中のキハ66・67
■引退が近い気動車を貸切
今回貸し切ったのはJR九州・佐世保車両センターに所属するキハ66・67形気動車。この車両は1974(昭和49)年よりこの九州地区、配置当初は筑豊地域に投入された車両である。一般型気動車と急行型気動車の要素を併せ持つ独特の車両設計は他にない形態で、いまだに根強い人気を誇っている。
だが新型ハイブリットディーゼルカーのYC1系の導入が進み、近くこのキハ66・67形は引退する見込みとなっており、非常に注目度の高い車両となっている。今回はこの中でも「シーサイドライナー色」と呼ばれる鮮やかな青が特徴的な車両を貸し切って運転された。

▲シーサイドライナー色のキハ66・67が門司港駅に来るのは極めて稀である。
■どこへ向かうかわからないワクワクを体験できるミステリートレイン
列車名の通りミステリー列車の形態をとり、主催者から参加者に向けては出発・到着地の門司港駅以外の経路告知などは一切されず運転された。最終的な経路は門司港〜(鹿児島本線・筑豊本線〔福北ゆたか線〕)~中間〜〔福北ゆたか線〕~折尾〜(筑豊本線〔若松線〕)~若松〜〔若松線〕~折尾〜〔福北ゆたか線〕~新飯塚〜(後藤寺線)~田川後藤寺〜(日田彦山線)~添田〜(日田彦山線・日豊本線)~小倉〜(鹿児島本線)~門司〜門司港で、筑豊地域を行き来しながら周遊するルートとなっていた。
先述の通りキハ66・67は登場当初、山陽新幹線と筑豊地区の連絡輸送に充当されており、当時の経路や線区とは若干の違いがあれど、今回のルートはその筑豊地区での当時の走りを彷彿とさせるツアーだった。
また、途中の停車では扉を開け、ホームに降ることのできる停車も多く、その間に撮影なども思う存分堪能することができた。
■登場時の面影を強く残す車内
この貸切列車に充当されたのはキハ66 2+キハ67 2の2番ユニット。この車両の特筆すべき点としては、シートが製造時の寒色系無地モケットを残す車両であり、他の更新された市松模様入りモケットとは違う登場当時の雰囲気を色濃く残す貴重な車両である。

▲どこかノスタルジーな原型モケットが旅を盛り上げる。
■記念撮影用ヘッドマークのデザインを担当
今回は主催の九州鉄有志の皆様の他、共催である「たび鉄同好会」の依頼で私がヘッドマークのデザインを担当させていただいた。
今回は事前にシーサイドライナー色が充当されるのを聞いていたので、かつて快速「シーサイドライナー」がデビューした際に装着していたヘッドマークをイメージしつつ、鳥はJR九州でモチーフとしてよく起用されるつばめを、花は季節を意識してコスモスを、それぞれ描き起こして配置してみた。

▲デザインを担当したヘッドマーク。記念撮影用に製作されており、装着しての運転はしていない。
■最後に
その製造数の少なさもあり、今後急速に数を減らしていくことが予想されるキハ66・67形。その車両を貸し切ったミステリー列車に乗車するという貴重な体験ができ、主催の九州鉄有志の皆様、ヘッドマークまで制作をさせていただいた共催の「たび鉄同好会」やJR九州の関係者の方々にはお礼申し上げたい。
普段は快速「シーサイドライナー」などで使用される同車。ぜひ皆様も九州へ古き良き気動車列車の旅を味わいに乗りに行ってみてはいかがだろうか。
🔶キハ40原型エンジンの唸りを堪能! ~大村ヨンマル紀行乗車記~へ続く!
- 門司港駅の駅端部には花が多く植えられている
- 発車待ちのキハ66・67
- 車内にはこんな掲示も
- ハンドルを握る手は凛々しく見える
- 秋の日差しの下、緑のトンネルを駆け抜ける
- ノスタルジー溢れる原形モケット
- 制作したヘッドマークを車両と共に
- この添田駅では長時間停車し撮影を楽しめた
- 採銅所駅で小休止
- 青い車体に赤い扉が映える
- 門司港駅へ帰ってきた時のひとコマ















