text & photo:RM
取材日:‘20.10.1
取材協力:鉄道博物館
鉄道博物館(埼玉県さいたま市)では、10月3日(土)より鉄道写真家・南 正時さんの蒸気機関車作品を中心に展示する作品展を開催している。レイル・マガジンでの連載『南 正時のフィルムの情景』でもおなじみの同氏は、1971年よりプロカメラマンとしての活動を開始。そのころ活躍の末期であった各地の蒸気機関車の姿を追い、精力的に日本全国を駆け巡った。
当時の作品はもちろん銀塩フィルムによるもので、物理的な劣化の兆しが見られたこと、またこうした素晴らしい鉄道情景を後世に伝えたいという南さんや関係者の熱意により、作品が鉄道博物館に寄贈されることが決定。本作品展は順次寄贈が行われている膨大な作品の中から、東日本地区の蒸気機関車作品をメインとして66点を展示している。
▲多数の展示パネルを、撮影エリアごとに分類して展示。アクセントとして博物館収蔵の蒸気機関車の大型模型も展示されている。
10月1日に開催された報道向け内覧会では南さんご本人が来場し、作品展への思いを語った。もちろんプロになる以前から鉄道の写真を精力的に撮影していたこと、使用カメラの変遷、プロになったきっかけ、ジュニア層向けの「大百科」シリーズなどで長年活動したこと、今のレイル・ファンへ伝えたいこと…。作品1枚1枚に深い思いが込められていることが伝わってきた。
▲写真向かって右が南さんご本人で、指差しているのは北陸本線で活躍中のD51 737(みなみ)。写真左は、南さんのアニメーター時代の職場の先輩で、南さんにプロ写真家の道を勧めたという伝説的アニメーターの大塚康生さん。
▲歴代の使用カメラ。主にアマチュア時代~プロ初期のものが中心で、後年ものは新機材導入のたびに下取りに出してしまったのだとか。
▲ケイブンシャから刊行された「大百科」シリーズは南さんの著作の中でも代表作。
写真1点ごとに添えられたキャプションには、当時の南さんの心境まで事細かに述べられていることに驚いたが、お聞きしたところ、「今と違って1枚のカットに掛ける手間と思い入れが段違いであったので、明確に記憶しているのですよ」とのことだった。
▲越美北線で貨物列車を牽く8620形。川で遊ぶこどもたちを「カッパ」に例え、ご自身の幼少時の思い出と重ねた作品。
この作品展は2021年1月11日までのロングラン。会期中、数回にわたり南さん本人が来場して作品について語るトークショーも予定されている。今回展示対象外となった西日本編や蒸気機関車以外の車両の作品展にも、今後期待したいところである。
■開催日時
2020年10月3日(土)~2021年1月11日(月・祝)
■会場
鉄道博物館 本館2F スペシャルギャラリー1
■入場料
鉄道博物館入館料のみで観覧可
(現在、入館券の「事前購入制」となっており、セブン・イレブン、ローソン、ミニストップの店舗で販売される、時間指定の入館券を前日までにあらかじめ購入のこと)
◎特別イベント「南 正時氏トークショー」
■開催日時
2020年10月10日(土)、11日(日)、14日(水)
①13:00~
②15:10~
各回とも所要時間約1時間
■会場
本館2F スペシャルギャラリー前
■定員
各回20名(着席)
※開始時刻前(「密」を避けるため、開始5分前)にスペシャルギャラリー前に集合すること。
※参加者多数の場合は立ち見でも参加可(ソーシャルディスタンスは確保すること)。
※11月以降の開催は調整中。