特集・コラム

非電化区間の最新システム―ディーゼルハイブリッド動車 第2回―

2020.06.01
■ハイブリッド車のパイオニア、JR東日本とその軌跡
 JR東日本が2003年に登場させた試作車キヤE991形は、日本最初のハイブリッド式気動車と言うべき存在である。電気機器は基本的にE231系を踏襲し、電動機も車体も電車に準拠したものが採用された。
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JR東日本キヤE991形 床下にディーゼル発電セット、屋根上に蓄電池を搭載。このスタイルは現在のハイブリッド動車に採用されている。 ’04.5.29 大宮総合車両センター P:寺尾武士

 このほかにリチウムイオン蓄電池を屋根上に搭載し、蓄電池からの電力供給のみで発進・加速することが可能となっている。また、エンジンは常に最適領域で運転させ、平坦線は蓄電池への充電を行い、勾配区間では発電量のすべてを走行用とすることも可能である。このように気動車、電車、燃料電池システムなどをモジュール化して組み合わせることで、電車との技術共用などの効率化につながったといえる。
 JR東日本は2007年にキハE200 形を世界初のハイブリッド式気動車という触れ込みで小海線に投入した。装備としては主電動機にE231系のものを基本としたMT78形を採用し、大量生産されている電車の技術をベースとした。これは以後、JR東日本のハイブリッド式車輌に踏襲されていくこととなった。
 続いて2010年に観光列車向けにHB-E300系を導入した。HBは「HyBrid」を意味しており、基本的にはキハE200形を踏襲しているが、補助電源容量や、インバータの出力容量などがマイナーチェンジされている。
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CI20形主変換装置 HB300搭載の主変換装置。PWMコンバータ部、VVVFインバータ部と補助電源装置部で構成。状態に応じて電流の流れを適切に制御して走行や充電の制御を行う。 ’10.6.18 長野総合車両センター P:松沼 猛

 また、2015年には仙石東北ラインにHB-E210系が投入された。これは交流電化の東北本線と直流電化の仙石線の短絡線を非電化としたためであると言える。
 このように、JR東日本におけるハイブリッド車の導入は、環境配慮のPR効果や、企業イメージ向上に寄与できる分野に対して行われるにとどまっており、今後の気動車の標準的なスペックとして位置づけられるものではない。そうした意味では、燃料電池車や蓄電池式車輌などに至るまでの過渡的なシステムと言えるかもしれない。
本文:児玉光雄 要約・再構成:RM レイル・マガジン433号より

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