近年はエンジンや電気制御機器の小型軽量化が進んだことからディーゼル機関車だけではなく、気動車についても電気式駆動システムの導入が検討された。電気式駆動システム自体は、シリーズ式ハイブリッド気動車ですでに実用化されていたが、出力やコスト面でまだ主流とは言えなかった。
そこで、JR東日本は2019年に電気式気動車の量産に着手した。完成したGV-E400系は、コマツ製DMF15HZD-G型を1基搭載し、発電機により走行用電力を得ており、あとの走行システムは電車と同様である。また、台車もJR東日本の電車の標準装備と同一の系統となっており、車体長も電車で一般的な20m級、連結器も密着式とされた。これにより、電車との共通化に伴う検修施設等での効率向上が予想される。
▲JR東日本GV-E400系先行車 GV-E400系先行車は2018年に3輌が落成し、性能試験を行った。7月に量産化改造を終えて出場。外観上の変化は落成時に装備されていなかった電気連結器が装備されるなど、量産車と仕様が揃えられた。 ’18.1.30 新津運輸区 P:松沼 猛
▲DMF15HZD-G形+DM115形 ディーゼル発電セットはコマツ製450ps機関のDMF15HZD-G形と305kW出力のDM115形発電機を直結。発電機はエンジンを始動させるセルモーターの役割も果たしている。 ’19.7.27 信越本線 新津 P:寺尾武士
ところで、電気式気動車の場合、駆動システムの発電機から先は電車と同一であるが、ブレーキ使用時に発生した電気を架線に戻せないため熱として放出するか、蓄電池に溜めることとなる。後者はハイブリッド式車両など走行用電池を持つ車両に採用されているが、GV-E400系は図の抑速制御モードの時、エンジンに繋がる発電機を電動機として使用し、ここで電気を消費している他、室内のサービス電源用として一部は蓄電している。
また、電気式気動車は過去にハイブリッド式気動車として採用した技術でもあるが、蓄電池はコスト面や車体重量に加え整備の手間の増加という側面があり、全面的な普及には難があった。しかし、新潟地区では本格的な運用も始まっていることから今後、電気式気動車によるキハ40系の本格的な置き換えが始まりそうだ。
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本文:児玉光雄 要約・再構成:RM レイル・マガジン433号より