特集・コラム

非電化区間の最新システム―電気式気動車 第2回―

2020.05.26
■電気気動車を取り巻く環境とその明日
 今後の気動車はすべて電気式として普及していくのか、となるとまだ回答を出すには早い可能性がある。理由として、GV-E400系と液体変速式のキハE120形の定格出力を比較してみると、GV-E400系は105kW×2=210kW、キハE120形の定格出力はエンジン出力のままとすれば450ps=331kWである。同じエンジンを搭載しているがGV-E400系のほうが低出力と設定されているのである。
 ただし、キハE120形が採用する液体式変速装置は変速段の伝達効率が低下することや、起動トルクなど運転上必要な評価値についても単純に比較評価はできない。また、気動車の性能は、環境性能など総合的に評価すべきであって、単純な出力比較だけでは意味のある導入比較にはならないが、登坂性能を重視するような線区では液体式の有用性が高いと言える。
 また、電車との整備共通化といった保守上のメリットも無視できないことから、JR各社とも今後各線区での情報収集を進め、今後の導入拡大を検討していくと考えられる。JR東日本ではGV-E400系は勾配区間が介在する米坂線での使用も予定されているほか、JR北海道でもこれと同型のHB100形の運用が始まっている。
HB-100形_600.png
JR北海道H100形 GV-E400系の両運転台車(GV-E400形)をベースに酷寒地対策を施した。愛称はDECMO(Diesel Electric Car with MOtors)。先行車が2018年に落成し、2019年度に量産車が登場する計画となっている。 ’18.4.6 苗穂車両所 P:RM

 さらに、JR東海ではハイブリッドながらモーター駆動の新型特急気動車によって山岳路線での運用が計画されており、昨年には新型特急車両HC85系を発表した。量産には3ヶ年程度の長期試験を経てから着手するとしており、現在試運転が行われている。JR各社の今後数年間の運用試験やその間の技術開発の進展によって電気式気動車の有用性は今後大きく左右されると言えるだろう。
HC85a_600.png
JR東海HC85系 JR東海の在来線特急「南紀」「ひだ」での運用を想定して新造された試験走行車。形式の「HC」とは「Hybrid Car」を表しており、車両記号は近年のハイブリッド車に用いられる「HB」などではなく電車を表す「クモハ」などが用いられている。現在、各線区での試運転を実施しており、今後の活躍が期待されている。’19.12.12 名古屋車両区 P:RM

(電気式気動車編 終)
本文:児玉光雄 要約・再構成:RM レイル・マガジン433号より

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