← → 1953(昭和28)年に登場した小田急電鉄2100形電車用として製造された台車(MTとも同一形式)。高性能車登場目前に軽量化の試作的要素を含んで登場した2100形は、駆動方式こそ吊掛式であったものの、台車は1700形や1900形後期の重厚なゲルリッツ式から一転、軽量構造の軸ばね式となった。台車枠は一体鋳鋼製。ブレーキシリンダーも台車取り付けとなったが、シリンダー自体は台車枠横梁内に取り付けられているとのことで、外観上は見られない。また、枕ばねのオイルダンパもコイルばねの内部に仕込まれている。なお、続いて登場した2200形のFS203ではブレーキシリンダー、オイルダンパとも外付けになっている。 2100形は4000形に電気機器を供出する形で1975(昭和50)に廃車となり、FS14は“配送”として活躍していた荷物電車デニ1000形、1300形に転用され、1984(昭和59)年まで活躍した。また、2100形の車体は3輌分が西武所沢工場を経て三岐鉄道に譲渡され、Tc車となった2輌のみそのままFS14を履いていたが、1990~1991年に廃車となった。 写真は廃車後、海老名検車区構内に保管されていたデニ1303のもの。軸距:2300mm 車輪径:910mm軸箱支持:軸箱守(軸ばね) 枕ばね:コイルばね写真:1986.4.16 海老名検車区 RM2006.12.25作成参考文献「住友金属の台車7」鈴木光雄(『鉄道ピクトリアル№450』所収/1985年 電気車研究会)『RM LIBRARY62 三岐鉄道の車輌たち』南野哲志・加納俊彦(2004年 ネコ・パブリッシング)これまでに収録した小田急電鉄の台車へのリンクこれまでに収録した三岐鉄道関連の台車KBD-107 FS14 FS342 NT-7K KD219 KD219A小田急電車回顧 別巻(表紙は小田急~御殿場線の連絡線を行くキハ5102です) 小田急の忘れ得ぬ名優たちの姿をまとめた『小田急電車回顧』の完結編となる別巻が発売されました。今回はデニ1300形をはじめ歴代の荷物電車(旅客車の代用を含む)、“芙蓉”“長尾”“朝霧”“銀嶺”で活躍した御殿場線乗り入れ用気動車、そして小田急のもう一つの主役であった電気機関車たちを収録しているほか、パイオニア台車の試験で入線した東急7000系の走行シーンなど1~3巻で収録できなかった思い出のシーンも多数掲載しています。ご購入はこちらから。