text & photo:RM
取材日:’26.8.31 場所:東花園車庫
取材協力:近畿日本鉄道
近鉄では、名古屋エリアから伊勢・志摩エリアに向けて新しい観光列車、しかも「美食」にこだわった車両を登場させました。メタリックブルーの車体が非常に美しいその列車名は「Les Saveurs(レ・サブール)志摩」。フランス語で「味わい」「風味」を表す言葉で、三重・伊勢志摩の多様な食材が織りなす奥深い味わいをイメージしているとしています。

▲メタリックブルーの車体に、ホワイトのアクセント、ゴールドのストライプが入っています。
完全な新造車ではなく、一般型特急車両12400系「サニーカー」を改造したもので、種車はその第2編成が選ばれています。4両編成なのは種車そのままですが、形式は変更され19400系となりました。「美食」にこだわる車両だけに3号車は丸ごと1両厨房車となっているのが大きな特徴です。片側廊下となっており、厨房側の側面は窓がまったく無くなっており、アクセントとなるデザインが入れられています。

▲ある意味「Les Saveurs」の象徴である、厨房車3号車。T車ですが電源用SIVを新たに搭載しています。

▲数ある日本の歴代食堂車の中でも、長手方向にこれほど置行きを持つ厨房は珍しいのでは…。

▲片側に寄せられた通路側は、種車の窓が活かされています。
客室設備は提供される料理の様式に合わせて2種類用意されています。フラッグシップ的存在なのが、「フレンチコース」が供される4号車。2人掛け席と4人掛け席、合計16席のみの贅沢な空間で、シートは革張り、また左右の列で半席分ほど位置がずらされており、プライバシー感覚が守られているようです。

▲4号車はMc車で、写真で窓のない部分はトイレ、パウダールームとなっています。種車から活かされた菱型パンタというのも興味深いところ。

▲4号車の車内。2人掛けと4人掛けのシートがゆったり設置されています。
1・2号車は「フレンチ膳」が供される仕様となっており、4号車より少しカジュアルな雰囲気。テーブルが台形で窓側に向かって広がる形状となっており、お客の体が自然に車窓側を向くように設計されています。2人掛けと1人掛けシートがあり、また大き目の仕切り壁で仕切られることでやはり程よいプライベート感覚が得られるようです。

▲1号車はTc車で、車体前部半分ほどをトイレ、車いす対応トイレ、パウダールームとするために客扉を中央部に移設。この扉は種車と異なり引き戸となっています。

▲2号車はM車で、比較的外観の変化は少ないようです。

▲1号車の車内。2人掛けシートが並んでいます。

▲2号車の車内。

▲「おひとり様」向けの1人掛けシート。テーブルに囲まれており、椅子をどの向きにしても食事が楽しめます。

▲車いす対応のトイレは実に広々として使いやすそうです。

▲「高級レストラン」と考えればあって当然(?)のパウダールーム。
この列車のちょっとユニークなところ…「フレンチコース」と「フレンチ膳」では乗車・降車可能駅に違いがあります。当然、「コース」の方が食事に時間が掛かるためで、下り列車の場合、降車可能なのは終点賢島とその1個手前の鵜方のみ。「膳」の方は伊勢市以後の主要駅で降車可能となっています。サービス内容だけでなく、旅程とも相談しつつ、優雅な列車たびと美食を楽しみたいものですね。
なお、当列車は旅行商品として発売され、近鉄名古屋~賢島間を1日1往復します(もちろん片道だけでの利用が可能)。下り列車がランチタイム、上り列車がディナータイムに相当しますが、お食事の内容は同一となっています。1編成のみの存在ですので検査の都合もあり週6日運行(季節により週7日運行する場合もあり)、現時点では11月1日運行開始以降の運転日についてはまとまった情報が無く、利用にあたっては公式WEBサイトなどでの確認と予約が必要です。


