JR東日本は3月4日、鉄道ネットワークを活用した荷物輸送サービス「はこビュン」を事業化することを発表した。
今回の事業化を通じて、これまでの全ての新幹線において展開してきた駅間での小口輸送を着実に拡大させるとともに、在来線を含めた各方面への更なるネットワークの強化、受付・予約のシステム化によるタイムリーなサービス提供、そして高速・多量荷物輸送の事業化により、JR東日本グループ全体で年間100億円規模の収益獲得を目指す。
2025年4月18日から新青森・東京間で客室を使用した車両貸輸送を開始することに加え、E3系新幹線1編成の全号車を荷物輸送専用車両として改造に着手し、2025年秋には車両基地を活用した盛岡・東京間での輸送を開始する。同社によれば、「新たな物流ネットワークの構築により、JR東日本グループだからこそ展開できる新たなライフスタイルを提供します。」とのことだ。詳細は以下の通り。
■概要
鉄道ネットワークを活用した荷物輸送サービス「はこビュン」では、JR東日本が運行する新幹線や在来線特急において、荷物の積み下ろしや車内での管理などをJR東日本グループ企業が担い、グループが一体となることで高品質な荷物の輸送を実現している。また、事前予約不要で、荷物1個から、列車出発の30分前まで申し込み可能な 「はこビュン Quick」サービスも実施している。
今回、これらのサービスにつき、営業列車の客室や荷物輸送専用車両を活用した大口荷物の定期輸送サービスを開始し、順次ネットワークの拡大等により、さらに荷物輸送ニーズにあった新たな物流サービスを提供し、社会課題解決に貢献していく。
● 輸送対象
北海道・東北・秋田・山形・上越・北陸の各新幹線、在来線特急及び在来線
● 輸送単位
1箱単位の小口から大口輸送まで ※今回、東北新幹線の100箱単位事業化に着手
● 輸送料金
下記プレスリリーフPDFを参照
●予約・受付方法など
これまでの商談や電話・メール等による輸送列車の予約・受付から、今後、法人向けは2025年4月より、個人向けは2025年度内にJRE MALLの予約システムを活用することにより利便性を高め、事業運営主体であるJR東日本物流をオペレーションの軸として、予約受付から荷物の積み下ろし、他の物流企業等とのファースト・ラストワンマイルまでトータルコーディネートする。
●輸送実績
これまで鮮魚や農産品等の地産品、精密機械部品や医療用品など多数輸送している。
●社会的課題解決への貢献
直面する「物流業界の人手不足問題」や「CO2排出量削減」、「地方創生」等、社会的課題を解決していく。
■輸送サービス・ネットワークの拡大展開
これまで、主に始発終着駅間かつ列車限定での輸送を行っていたが、今後、途中駅での取り扱いも含め新幹線全列車に対象を拡大し、大口輸送に関しては東北エリアから首都圏へ土休日を除く毎日輸送を行なう。また秋田・山形・上越新幹線など各方面、そして特急電車等も含めて「はこビュン」ネットワークを拡大し、輸送サービスを展開する。
●新幹線荷物輸送の大口定期運行サービス (東北新幹線 新青森駅・東京駅間2025年春開始)
2024年度の多量輸送事業化検証結果等を踏まえ、現行の数箱から10箱単位の輸送サービスから、より多量かつ定期的な輸送サービスを開始する。将来的に、上越新幹線ほか対象線区・区間の拡大を図る。
〇運行日
毎週金曜日の定期運行を開始 (4月18日(金)~)
※輸送日の7営業日前まで申込可能
※金曜日以外の輸送にも今後柔軟に対応
〇輸送列車
東北新幹線 臨時列車 はやぶさ50号(E5系10両編成)
〇輸送区間
新青森駅8:29発→東京駅11:44着
〇輸送形態
荷物輸送:1~2号車、旅客発売:3~10号車
(普通車指定席:3~8号車、グリーン車:9号車、グランクラス:10号車、TRAIN DESK設定あり)
〇荷量
最大200箱程度
▲輸送のイメージ
●定期運行化に向けた車両改造等(東北新幹線盛岡~東京間2025年秋開始予定)
E3系新幹線1編成の全号車を荷物輸送専用車両として改造(床面フラット化)する。2025年秋の東北新幹線盛岡~東京間上り列車での平日定期運行を皮切りに、車両基地を活用した100箱単位、最大で
1,000箱程度のさらなる大口輸送を定期化する。
※運行時は E5 系「やまびこ」と連結する予定。正午前に盛岡新幹線車両センターを発車、午後に東京新幹線車両センターに到着するダイヤを検討中。
▲E3系改造車の車内・荷物の積み込みを行なう車両基地のイメージ
▲はこビュン事業の現状と今回の事業拡大の図
▲輸送の様子(上記画像はすべてJR東日本公式プレスリリースPDFより)