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【本当にカシオペア!?】実は「元・ブルトレ」 謎の車両カヤ27

2024.02.06

text:鉄道ホビダス編集部

▲色こそ「カシオペア」だが、明らかにステンレスとは輝きの異なるシルバーと車体断面の違いから、一際異彩を放つ「カヤ27 501」。

‘19.4.18 東北本線 東鷲宮〜栗橋 P:中里 暢
(今日の一枚より)

 1999年に運行開始した「カシオペア」。一般運行終了後も団体列車「カシオペア紀行」として不定期運行されており、根強い人気を誇っています。使用される客車はオールステンレス車のE26系で、全室A寝台個室、ダブルデッカー構造の豪華客車ですが、実は1両だけ少し変わった「カシオペア」客車がいるのをご存知でしょうか?

【写真】営業運転時代の写真も!カヤ27形投稿写真はこちら!

■一般旅客は乗れません

 他のE26系とは異なる1両のみの存在というのが、「カヤ27形」です。このカヤ27形に与えられた役割というのが予備電源車というもの。登場はE26系デビュー翌年の2000年で、その名の通り、本来の電源車であるカハフE26形の予備車として存在しています。
 車両形式にある程度理解がある方であればお気づきかと思いますが、「ヤ」という記号が示す通り、扱いとしては事業用車です。そのためカハフE26形のようなラウンジスペースは設けているはずもなく、種車の荷物スペース改造の車内販売用業務室のほかは機器が並び、旅客の立ち入りはできません。

■元・24系のカシオペア

 さて、このカヤ27形を見るに、他のE26系とは全く違う見た目をしています。それもそのはず、種車は「ブルートレイン」の24系客車。元々はカニ24 510という車両で、このカニ24 510自体も改造車であり、新造時はカニ24 113という車両でした。大元になるカニ24形100番代とは、0番代を元に1977(昭和52)年に登場したカニ24形0番代の改良型で、折妻を持つ0番代とは異なり、スパッと切り落とされたような切妻の「顔」がなんとも特徴的な車両でした。

 そのうちカニ24 113・115は1990(平成2)年に耐寒・耐雪改造が施されて500番代化。113が510に、115が511に改番されることになりました。カニ24 510として生まれ変わったあとは機関の更新や車掌側貫通扉の埋め込み、白帯化などが行われ、中身だけではなく外観も大きく変化します。そして2000年、カヤ27 501に改造され「カシオペア」の予備電源車として活躍を続けることになります。

 このように予備電源車というキャラクターのみならず、その車歴自体も異端なのがこのカヤ27という車両。外観もE26系のステンレス車体に合わせてシルバー地にカシオペアの帯を巻いてはいますが、その車体形状から素性は隠しきれておらず、カニ24形100番代の特徴である切妻スタイルも健在です。

 たった1両のみの存在かつ、普段は運用入りしないという車両の特性上、ひとたび「カシオペア」にカヤ27形が連結されるとレイル・ファンたちは沸き立ちました(『カヤオペア』と呼ぶ向きもいたとか)。逆に、旅客からしてみると偶然にもカヤ連結の日に乗車が当たってしまった場合、ラウンジスペースを楽しむことができないのは気の毒に思います。

■最近の動向は?

 ブルートレインの全廃からしばらく経ち、気がつけば24系や14系寝台車といった車両たちは本線上からどんどん姿を消していきました。カヤ27 501のいわば兄弟とも言えるカニ24 511は、幸運にも現在小坂レールパークで保存されており、これ以外の保存車や保管されている車両もいますが、現在本線上で運行可能な24系は存在しません。そんな中、E26系自体は現役であることから、予備電源車としてカヤ27 501は現在も在籍し、運行可能な状態となっています。

 本来の予備電源車としての役割で登板する機会は近年全くないものの、試運転や入出場、また撮影会などで時折その姿を見せており、24系の姿を伝える最後の生き残りとして今もひっそりと「カシオペア」の運行を支えています。

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