写真:寺尾武士・松沼 猛
「のどかな田園風景を短い編成の列車が走る」。
ローカル線をイメージすると浮かんでくる景色というと、こんな感じかと思いますが、日本三大都市と呼ばれている東京23区や愛知県名古屋市、大阪府大阪市にも1~2両編成の列車を走らせている路線があります。ここでは、都会の中にあってどこかのどかな雰囲気を醸し出す短編成の列車を見ていくことにしましょう。
まず、東京では東武鉄道亀戸線・大師線でその姿を見ることができます。亀戸線と大師線はどちらも支線で、それぞれ曳舟-亀戸間、西新井-大師前間を結んでいます。運用されているのは、ともに8000系の2両編成。ホワイトに濃淡の異なるブルー帯の一般塗装車のほか、イエロー×オレンジ帯などの試験塗装復刻車両も走っており、どの編成がやってくるかも楽しみのひとつと言えます。
続いて名古屋地区では、JR東海関西本線や名鉄線で2両編成が活躍中です。関西本線では普通列車だけでなく、名古屋駅を発着する特急「南紀」、快速「みえ」も2両編成が基本となっており、通勤時間帯や混雑期に増結の4両編成とすることで対応しています。
一方、名鉄名古屋本線と犬山線の普通列車、常滑線・河和線の普通列車も2両編成で運行されており、どちらも3150系が活躍しています。
また、大阪市内を走る近鉄南大阪線・吉野線、南海電鉄汐見橋線でも2両編成の列車を運行しています。大阪阿部野橋駅を起点とする南大阪線・吉野線では、汎用特急車両を使用した吉野特急が2両編成を基本に走っており、増結運用を行う通勤時間帯を除けば、16600系を見ることができます。
都心部と言えば多客輸送を目的とした長編成が建物の間を縫うように走るイメージがありますが、乗客数に応じた車両数を設定して走らせることも鉄道らしさのひとつ。今回ご紹介したような短編成も含めた“適材適所”も、私たちの利便性を維持してくれている秘訣なのかもしれません。