185系

特集・コラム

懐かしのボンネット特急「白鳥」プラレール!不遇だった復活仕様

2024.01.05

text & photo:なゆほ

 60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回も「復刻プラレール」シリーズの一つ、「ボンネット特急白鳥」です。レイル・ファンの間では知らぬ人はいない名列車「白鳥」の晩年の姿を模したボンネット型485系のプラレールですが、その生い立ち・その後の展開を振り返ると少し不遇とも言えるものでもありました。(編集部)


 この特集記事でたびたび取り上げているように、1999年のプラレール40周年前後から2000年代初頭にかけて、昔の製品にディテールアップを施したものが多く発売された時期があります。今回もそのうちの一つ、2002年の10月14日「プラレールの日」に発売された「ボンネット特急白鳥」を紹介します。1971年に発売された「とっきゅう」の末期の姿です。

【写真】実は中間車が違う車両!?ディテールアップされたボンネット「白鳥」の写真!

▲2002年10月14日発売の「ボンネット特急白鳥」

 「白鳥」は大阪~青森間の1,000km以上を日本海側経由で結んでいた長距離特急で、1961年の運行開始以来、2001年に運行を終了するまで約40年間に亘り活躍していた有名な列車です。他の特急電車と同様、「白鳥」も時代の変化により車両のリニューアルが行われてサービス向上が図られていたものの、ボンネット型の485系も長らく使用され、引退時の列車にも充当されました。引退翌年に発売された「ボンネット特急白鳥」は、往年の「白鳥」の姿をプラレールで楽しめる素晴らしい製品となりました。

▲JRマークの追加は復刻製品の特徴と言える。

 前述したように、「ボンネット特急白鳥」の車体は1971年に発売された「とっきゅう」が元となっています。「とっきゅう」は1976年にディテールアップを施して「特急電車」と改称され再発売されたものの、しばらくすると既に時代遅れの電車と判断されてしまったのか、1983年に絶版となってしまいました。このため、1987年の動力更新(新動力化)の対象から外れ、21世紀どころか90年代すら迎えられない「絶版プラレール」の一つとして歴史の中に埋もれつつありました。実車が残っているにも関わらず、プラレールでは製品がないという状況が続いていましたが、「白鳥」の運行終了により再び光が当たる結果となりました。

 こうして、前年に発売された「寝台特急」(583系)と同様に旧動力時代に姿を消した製品が現代のラインナップに再登場しました。床下とスカートの塗り分け、ボンネット485系の特徴である「ヒゲ」の表現、屋根の銀塗装化など、復刻当時30年前のプラレールに、時代相応のディテールアップが施されました。

 華々しく復活した「とっきゅう」の車体でしたが、3色展開の非売品や「急行きたぐに」として復刻製品の幅が広い「寝台特急」とは異なり、こちらは製品としての生い立ちが少々違う傾向にありました。それが「中間車が流用されたもの」であったという事です。

 先頭車と後尾車は1971年当時の新規造型車体でしたが、中間車は1960年代の製品「電動超特急ひかり号」(0系)から流用されたものでした。つまり、中間車は0系新幹線として設計されたものだったのです。

 プラレールファンから見れば、このデコボコした編成をもってして「『とっきゅう』はこういうもの」と認識しています。なので特に違和感なく受け入れられていますが、2002年当時から見るとやはり「昔のプラレール」の復刻品止まり。発売当時に造型が完成されていた「寝台特急」に対し、1971年当時の開発姿勢が反映された「とっきゅう」は更なる展開をするにも少々苦しく、この復刻が最初で最後の新動力バージョンでの製品化となってしまいました。幸い、後尾車のみは2007年発売の「鉄道博物館開館記念スペシャルセット」に「クハ481形式電車」として含まれましたが、これが正真正銘最後の登場となりました。

 「白鳥」の引退を機に復活したボンネット特急のプラレール。列車として見ると素晴らしい製品化ですが、車体の歴史を遡ると少しもったいないと思える結果となってしまいました。

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