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【2度生まれ変わった電車】都電7700形 カタチはレトロ中身は新車!?

2023.12.26

 

▲「2016荒川線の日」で並べられた7700形(手前)と7000形。

‘16.6.12 東京都交通局 荒川車庫 P:崎山喜一朗
(鉄道投稿情報局より)

 かつて東京の中を縦横無尽に走っていた都電たち。今から50年以上前にほとんどの区間が廃止となり、残ったのは現在の東京さくらトラム(都電荒川線)区間である早稲田停留場から王子駅前停留場を経由し、三ノ輪橋停留場まで至る12.2kmのみです。そういった歴史がある都電で、長らく活躍した車両が7000形でした。

【写真】懐かしの都電7000形たちの写真 他社への譲渡例も!

■生まれは昭和29年

 1954(昭和29)年に登場した都電7000形。当時はまだまだ東京の至る所に都電が張り巡らされていた時代で、1両(7020号)のみ試作された高性能車や、旧型車の機器を流用した車体更新改造車も含めて1956(昭和31)年まで合計93両が製造されました。
 落成当時の7000形は窓は大きく、車体の四隅は丸く処理されており、当時としてはモダンでスマートな印象を受ける車両デザインでした。とはいえ、丸型のヘッドライト1灯が正面に来る前面周りは、どこか愛嬌のある昔の都電らしい顔つきとも言えます。

■荒川線存続決定 長らく主力で活躍する7000形

 1974(昭和49)年に、それまで別々で運行されていた都電27系統と32系統を統合し「荒川線」が誕生します。その際7000形のうち後期に製造された車両は順次荒川車庫へと集約され、活躍を続けることとなります。

 さらに1978(昭和53)年からの全車ワンマン運転開始に伴い、7000形は新造車体に更新することに。前面は一枚窓になり、ヘッド・テールライトを横並びに計4灯配置。全体は丸みを帯びていた旧車体から一変、直線的なスタイルへと変化しました。また形式自体は「7000形」と変化はありませんでしたが、車体載せ替えに伴い、車号は新たに旧番号の古い順に7001・7002〜と改番されています。

 車体更新されてからもビューゲルのパンタグラフ化や冷房化改造、前面行き先表示のLED化など、時代に合わせた更新を続けていましたが、マスコンなど一部パーツは旧車体から受け継がれているものでした。

■車体は7000形 中身は新型の「7700形」に再び生まれ変わる

 2009(平成21)年には8800形、2015(平成27)年には8900形と、新型車両が続々と登場したことで、いよいよ7000形も2010年代頃より本格的な置き換え・廃車が開始されることになりました。順調に新型車が登場し、このまま7000形は全廃されるもの…と思われていました。
 ところが2016(平成28)年より、7000形の車体や冷房装置のみを流用し、制御装置や台車等の機器類は当時最新鋭の車両と同一品に交換され、内装も徹底した更新がなされた「7700形」が登場します。車体は乗車口の開口部の拡大のほか、運転台左下の窓新設などの改造点もありますが、基本的に種車である7000形の印象を色濃く残し、今も現役で走り続けています。

 元を辿ると昭和30年代に製造された車両。度重なる更新はあったものの、その最初の大規模更新では機器類が、その次の7700形化では逆に更新された車体がこうして受け継がれ続けるのは、まるで都電の歴史の中でバトンを受け渡し続けているかのようです。

 残念ながら、元々の7000形は2017年で全車が引退しましたが、7700形に改造された元7000形の車体は、8両が活躍中です。古き良き「吊り掛けサウンド」はもう聞くことはできませんが、50年近く前となった荒川線成立当時を思わせる車体が、今もこうして都電沿線で日常的に見ることができるというのは、幸運なのかもしれません。

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