普段、通勤電車に乗っていると目にする「車内案内表示機」。今では当たり前のように搭載されており、乗車する旅客に対してさまざまな情報を発信していますが、ここまで普及したのはつい近年の話でした。
↓首都圏の車内案内表示機の進化を見る!↓
■普及を始めたの1980〜90年代
こうした表示機が普及し始めたのは、鉄道車両にもデジタル化の流れがやってきた1980年代頃とされています。ここには定番の次に停まる駅の案内のほか、新幹線ではその日のニュースがスクロールして流れるサービスもありました。また、営団地下鉄(当時、現・東京メトロ)銀座線の01系や、丸ノ内線02系などには、路線図が光る方式となる案内表示器が搭載されており、これは列車の現在位置がランプの点灯によって示されるもので当時としては画期的なものでした。
■その後登場した液晶ディスプレイ方式が新たな定番に
▲209系やE231系0番代などに装備される1段式のLED車内案内表示機。
2000年代頃からは液晶ディスプレイ方式が普及し、現在ではこれがほぼ定番となりました。これは従来のLED式や路線図式などと比べて圧倒的に伝えられる情報量が多く、次駅案内のみならず、ドアの開く方向、駅ホームの設備の位置、またリアルタイムで発信が可能なことを活用し、より詳細な遅延情報までも案内可能になりました。
また、通勤電車のみならず、特急型にもこうした液晶ディスプレイが搭載されることも増え始め、東武鉄道で2023年7月にデビューしたN100系「スペーシアX」ではなんと車外の行先表示までもが液晶ディスプレイを採用。こうすることで車外にもさまざまな情報を表示することができるようになりました。
もちろん新造車両にのみこうしたディスプレイが搭載されるわけではなく、古い車両においても更新工事などにより新設される例も多くあります。りんかい線を走る70-000形などは、従来のLED方式の枠を活かしたまま、中身を液晶ディスプレイに更新する工事がなされており、現在では当たり前のようにディスプレイを車内外で見る機会が増えた印象です。
■これからの車内案内
現在ではこうしたディスプレイを見て情報を確認するのが一般的ですが、これだと混雑などでディスプレイが見えにくい位置に居る人が情報が確認しずらい点や、多言語対応にも限界があります。こうした問題点も、近い将来スマホのアプリなどに連携することで、手元で確認できるように改善されるかもしれません。実際、山手線などではリアルタイムに走行中の列車の位置や混雑状況、車内温度などを確認することができます。
最先端の技術により日々進歩する鉄道車両。未来の鉄道の形はどのようになっているのか、今から期待が膨らみます。